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店長になると、上司から『人件費、もう少し何とかならない?』と言われることがありますよね。でも、どこをどう触ればいいのか分からず困っている方も多いはずです。
結論から言うと、店長の人件費管理は売上に合った人数と時間を、シフトでそろえることです。ただ削るのではなく、忙しい時間に人がいて、暇な時間に人が余らない形を目指します。
この記事を読めば、人時売上の考え方と、シフトのどこから見直せばいいかが分かります。
店長の人件費管理は「売上に合った人の数」をそろえること
人件費は、働いた時間の積み重ねで決まります。店長ができる人件費管理の中心は、シフトの組み方です。売上の多い時間に人を厚く、少ない時間に薄くすると、同じ人件費でもお店が回りやすくなります。
『人件費を下げろと言われても、人を減らしたら回らない…』と感じますよね。実は、人件費管理は「減らすこと」だけではないんです。
例えば、ピークの時間に人が足りずにお客様を待たせているなら、そこには人を足したほうが売上につながります。反対に、暇な時間に何人も手が空いているなら、そこは見直せる時間です。
人件費管理でよく出てくる言葉
| 言葉 | 意味 | 店長が使う場面 |
|---|---|---|
| 人件費 | スタッフに支払う給与などの費用 | 月ごとの費用を確認する時 |
| 人件費率 | 売上に対して人件費がどのくらいかを表す割合(人件費÷売上) | 会社の目標と比べる時 |
| 人時(にんじ) | 働いた人数×時間。1人が1時間働くと1人時 | シフトの量を数える時 |
| 人時売上 | 売上÷総人時。1人時あたりでどれだけ売上を作れたか | 時間帯ごとの効率を見る時 |
会社によって、使う言葉や目標の数字は違います。目標の値は自分の会社で決められているものを使い、ネットで見かけた数字をそのまま当てはめないようにしておきましょう。
人時売上とは?シフトとのつながりを見てみよう
『人時売上って、名前は聞くけどよく分からない』という方も多いはずです。ひと言でいうと、1人が1時間働いた分で、どれだけの売上を作れたかを表す数字です。
人時売上は「売上÷その時間に働いた人の合計時間」で出します。同じ売上でも、少ない人時で回せた時間帯ほど人時売上は高くなります。時間帯ごとに見ると、人が多すぎる時間と足りない時間が見えてきます。

人時売上の出し方
- レジのデータから、時間帯ごとの売上を書き出す
- シフト表から、その時間帯に働いていた人数を数える
- 人数と時間をかけて、時間帯ごとの人時を出す
- 売上を人時で割って、時間帯ごとの人時売上を出す
- 一番高い時間と一番低い時間を見比べる
計算は電卓で十分です。毎日やる必要はなく、まずは1週間分を出してみると、お店の傾向がつかめます。
人時売上が低い時間、高い時間の読み方
| 状態 | 考えられること | 見直しの方向 |
|---|---|---|
| 人時売上がほかの時間より低い | 売上のわりに人が多い | 開始や終了の時間をずらす、別の作業を入れる |
| 人時売上がほかの時間より高い | 少ない人数でがんばって回している | お客様を待たせていないか、人を足すべきか考える |
| 日によって大きくばらつく | 曜日や行事で売上が変わっている | 曜日ごとにシフトの型を分ける |
ここが大事なところです。人時売上は高ければ高いほど良い、というものではありません。高すぎる時間は、スタッフに無理がかかっていたり、お客様を待たせていたりすることもあるんです。
計算が苦手でも使える「時間帯の見える化」表
『割り算を毎回するのは大変…』という方は、まず数字を使わずに表を作ってみてください。売上の多さを「多い・ふつう・少ない」の3段階で書くだけでも、シフトとのずれは見えてきます。
| 時間帯 | 売上の多さ | 今いる人数の感覚 | 次のシフトでの見直し |
|---|---|---|---|
| 開店前後 | 少ない | 準備の人で足りている | このまま |
| 昼のピーク | 多い | お客様を待たせがち | ピークに合わせて出勤を少し遅らせ、人を厚くする |
| 昼すぎ | 少ない | 手が空く人がいる | 品出しや教育の時間に使う |
| 夕方のピーク | 多い | ちょうどいい | このまま |
| 閉店前 | 少ない | 片付け待ちの人がいる | 上がる時間を段階的にする |
この表は一例です。自分のお店の時間帯で作ってみると、どこに手を入れるかが話し合いやすくなります。スタッフにも見せながら「この時間に入れる人はいますか」と相談できるのもいいところです。
売上の見方そのものは店長の売上管理で紹介しています。
人件費を「時間帯」「曜日」「人」の3つで見直す
『シフトを見直すと言っても、どこから手を付ければ…』と迷いますよね。そこで、人件費を3つの切り口に分けて見てみます。
人件費の見直しは、時間帯(1日の中のどこに人がいるか)、曜日(1週間のどこに人がいるか)、人(誰がどの作業をしているか)の3つで考えると、漏れなく見られます。金額より先に、人と時間の配り方を見るのがコツです。

3つの切り口のチェック表
| 切り口 | チェックすること | 見直しの例 |
|---|---|---|
| 時間帯 | ピークの前後に人が早く入りすぎていないか | 出勤時間をピークに合わせて少しずらす |
| 時間帯 | 閉店前の暇な時間に人が残りすぎていないか | 片付けを分担して、上がる時間を段階的にする |
| 時間帯 | アイドルに手が空いている人がいないか | 仕込みや品出し、清掃などの作業をまとめて入れる |
| 曜日 | 売上の少ない曜日も、多い曜日と同じ人数になっていないか | 曜日ごとにシフトの型を作る |
| 曜日 | 行事や給料日前後など、売上が動く日を見込んでいるか | 前の年の同じ時期の売上を見て人数を決める |
| 人 | 一人がレジしかできず、ほかの作業に回れない状態になっていないか | 2つ目の作業を教えて、手が空いた時に動けるようにする |
| 人 | 作業のやり方が人によってばらばらで、時間がかかっていないか | 手順をそろえて、マニュアルにまとめる |
| 人 | 新人の教育の時間をシフトの中に見込んでいるか | 教える人と教わる人の時間を、売上の少ない時間に置く |
全部を一度に直そうとしなくて大丈夫です。チェックが付かなかった項目を1つ選んで、来週のシフトで試してみてください。
曜日ごとの「シフトの型」を作ってみる
毎週ゼロからシフトを組んでいると、つい前の週と同じ人数で作ってしまいがちですよね。そこでおすすめなのが、曜日ごとの型を先に決めておく方法です。
例えば「平日の型」「金曜の型」「土日の型」のように、売上の動きが似ている曜日をまとめます。それぞれの型で、時間帯ごとに何人いれば回るかを決めておくんです。
型があると、毎週のシフト作りは「型に人を当てはめる作業」になります。行事のある週だけ型を少し変えれば済むので、店長の作業時間も減らせますよ。
「来月から、土日は夕方を1人増やして、昼すぎを1人減らす型にしてみます。入れる時間が変わる人には、個別に相談させてください」
型を変える時は、こんなふうに先に全体へ伝え、そのあとで一人ひとりと話すと納得してもらいやすくなります。
「人」の切り口が一番効くこともある
時間帯や曜日の見直しは、人数を増やしたり減らしたりする話になりがちです。一方で「人」の切り口は、同じ人数のまま、お店の回り方を変えられるんです。
例えば、レジだけでなく品出しもできるスタッフが増えると、お客様が少ない時間に別の仕事を進められます。教え方の手順は店長の新人教育・人材育成、手順をそろえる方法は店舗マニュアルの作り方で紹介しています。
毎日なんとなく続けている作業の中に、やめても困らないものが混ざっていることがあります。作業を1つ減らせれば、その分の時間をお客様の対応に回せます。
シフトを減らす時に守りたいルール
『人件費を下げるために、明日のシフトを削ってもいいの?』と気になりますよね。ここは、法律や厚生労働省の考え方を押さえておきたいところです。
一度決まったシフトを変えることは労働条件の変更に当たり、店長とスタッフの双方の合意のうえで行うものとされています。人件費の調整は、シフトを決める前の段階で行うのが基本です。
厚生労働省は、いわゆるシフト制で働く人について、留意事項をまとめています。その中では、次のような考え方が示されています。
- 会社が一方的にシフトを決めることは望ましくない
- シフト表を作る前に、働く人の意見を聞くことが考えられる
- 確定したシフトをいつまでに、どう知らせるかを話し合って決めておく
- 確定したシフトの変更は、双方の合意のうえで行う
- 会社の都合で休ませた場合は、休業手当の支払いが必要になる
- 無期転換の申込みを理由に、シフトの頻度を一方的に減らさない
会社の都合で休ませた場合の休業手当は、労働基準法26条に定めがあり、シフト制で働く人も同じです。つまり「暇だから今日は帰って」は、気軽に言ってよい言葉ではないんです。
時間を削る前に確かめたい労働時間のルール
人件費を気にするあまり、記録に残らない働き方になってしまっては本末転倒です。割増賃金はパート・アルバイトを含むすべての労働者に適用され、いわゆるサービス残業は労働基準法違反とされています。
また、労働時間が6時間を超えると少なくとも45分、8時間を超えると少なくとも1時間の休憩が必要です。休憩中に電話や来客の対応を指示していると、その時間は労働時間とみなされます。
詳しいルールはアルバイトの労働時間と休憩のルールにまとめています。最終的な判断は、会社の就業規則や労働基準監督署などで確認しておくと安心です。
人件費を合わせるために、確定したシフトを前日に一方的に削ってしまうことです。スタッフの生活の予定が崩れ、信頼も失いやすくなります。調整は次のシフトを作る段階で、相談しながら進めましょう。
シフトを減らす相談をする時の伝え方
どうしても来月のシフトを減らす必要がある時は、理由を正直に伝えて相談するのが一番です。例えば、こんな言い方があります。
| 場面 | 伝え方の例 |
|---|---|
| 来月のシフトを相談する | 「来月は売上が落ち着く見込みで、全体の時間を少し調整したいんです。〇〇さんの希望も聞かせてもらえますか」 |
| 時間をずらしてほしい | 「夕方の混む時間に入ってもらえると助かります。そのかわり、昼の時間を少し短くできますか」 |
| 増やせない理由を聞かれた | 「今はこの曜日の人数がそろっていて、増やすのが難しい状態です。空きが出たら一番に声をかけますね」 |
シフトの組み方そのものは店長のシフトの作り方で詳しく紹介しています。
削るだけじゃない、人件費を活かす工夫
『人件費を下げろと言われ続けて、スタッフに申し訳ない』と感じる方もいるかもしれません。その気持ち、とても大事です。
人件費は、売上を作るための大事な費用でもあります。削ることだけを考えるより、同じ時間で売上やお客様の満足を増やす使い方を考えると、スタッフにも会社にも良い形になります。
- ピークの時間に人を厚くして、待ち時間を減らす
- 手の空く時間に教育や売場づくりを入れる
- 作業の手順をそろえて、ムダな時間を減らす
- 2つ以上の作業ができる人を増やす
- どの時間帯も一律に人を減らす
- 確定したシフトを直前に削る
- 休憩や記録をおろそかにする
- 教育の時間を真っ先に削る
例えば、教育の時間を削ると、その場の人件費は下がります。でも、新人が育たないと、いつまでもベテランに負担が集まり、結果としてお店が回りにくくなるんです。
人手が足りない時の人件費管理
人件費を抑えたい一方で、人が足りなくて困っているお店もありますよね。そんな時は、時間帯ごとに「何人いれば回るか」を決めておくと、採用や応援の相談がしやすくなります。
人手不足の時の工夫は人手不足の店を回す店長の工夫、目標の立て方は店長の目標設定とKPIも参考にしてみてください。
上司に人件費の相談をする時の伝え方
人件費の目標がどうしても厳しい時は、数字をつけて上司に相談して大丈夫です。
「平日の昼は人時売上が低いので、来月から1人減らします。ただ、土曜の夕方は人時売上が高く、お客様をお待たせしています。そこに1人足したいのですが、相談させてください」
減らす所と足す所をセットで伝えると、店長として人件費を考えていることが伝わります。
知恵袋でよくある相談:人件費とシフトの悩み
Yahoo!知恵袋にも、人件費やシフトについての相談が寄せられています。閲覧の多いものを中心に3つ選んで、要点をまとめてお答えしますね。
チェーン店などで店長になったら、売上や人件費についてどんな成果を求められるのか知りたい、という相談です。
求められる中身は会社ごとに違いますが、多くの場合、売上の目標と、人件費などの費用の目標の両方を持つことになります。国の職業情報サイト(jobtag)でも、スーパー店長の仕事に、勤務スケジュールの調整や予算・会計業務の監督が挙げられています。
店長になったら、まず自分のお店の目標の数字と、その数え方を上司に確かめてみてください。何をどう見られるのかが分かると、日々の動き方が決めやすくなります。
飲食店の店長になったばかりで、食材や人件費の管理を基本から学びたい、という相談です。
最初は、会社の研修や社内の資料、上司に教わるのが近道です。会社ごとに数字の数え方が違うので、自分の会社のやり方から覚えるのが一番迷いません。
そのうえで、この記事のように人時や人時売上の考え方を押さえておくと、資料の意味が読み取りやすくなります。勉強の進め方は店長の勉強法も参考にしてみてください。
アルバイトとして働いていて、シフトを大きく減らされ、もう少し増やせないか店長に聞きたい、という相談です。
減らされると、生活の予定も変わって困りますよね。店長側にも、売上に合わせて人件費の枠を守らなければならない事情があることが多いんです。
とはいえ、一度確定したシフトの変更は双方の合意のうえで行うものとされています。働き始める時に「1か月○日程度勤務」のような取り決めがあれば、それも確認してみましょう。
「最近シフトが少ないので、もう少し入りたいと思っています。入れそうな曜日や時間帯があれば教えてください」と、責める形ではなく相談の形で聞いてみてください。伝え方はシフトの相談を店長にする時の伝え方でも紹介しています。
人件費と向き合う経験は、次のキャリアにもつながる
数字とシフトを行き来しながらお店を回す力は、店長として身につけた大きな強みです。この経験を、別のお店や会社で活かしたくなる時もありますよね。
飲食業界で働き方を見直したくなった時は、飲食店に特化した人材紹介サービスで、ほかのお店の働き方を聞いてみる手もあります。社内での異動の相談と並べて、選択肢の1つにしておくと安心です。
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よくある質問
店長の人件費管理で、まず何から始めればいいですか?
1週間分の時間帯ごとの売上と、シフト表の人数を並べてみてください。人時売上を出すと、人が多すぎる時間と足りない時間が見えてきます。
人件費率の目安はどのくらいですか?
業態や会社の考え方で大きく変わるため、この記事では目安の数字は出していません。自分の会社で決められている目標を上司に確かめて、それを基準にしてください。
暇な日に、スタッフを早く帰らせてもいいですか?
確定したシフトの変更は、双方の合意のうえで行うものとされています。会社の都合で休ませた場合は休業手当が必要になることもあるので、会社のルールを確かめて、本人に相談してからにしましょう。
人時売上は高いほど良いのですか?
高すぎる時間は、少ない人数で無理をしていたり、お客様を待たせていたりすることがあります。お客様の待ち時間やスタッフの様子と合わせて見ることが大切です。
人件費を抑えるために、店長が自分でシフトの穴を埋めてもいいですか?
急な欠勤の時など、一時的にはやむを得ない場面もあります。ただ、続くと店長の長時間労働につながります。管理監督者でも労働時間の状況は把握される決まりがあるので、続く時は上司に人の手当てを相談しましょう。
まとめ
- 店長の人件費管理は、売上に合った人数と時間をシフトでそろえること
- 人時売上は、売上を働いた人の合計時間で割った数字。時間帯ごとに見ると人の過不足が分かる
- 見直しは、時間帯・曜日・人の3つの切り口で考えると漏れが少ない
- 確定したシフトの変更は双方の合意のうえで。調整はシフトを作る段階で行う
- 削るだけでなく、同じ時間で売上や満足を増やす使い方を考える





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