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開店前に来て、閉店後の締めまで店にいる。そんな日が続いて『店長ってこういうものなのかな』と感じている方も多いはずです。
結論から言うと、店長の残業は「ルールを確かめる」と「仕事を手放す」の2つを同時に進めると減らせます。どちらか片方だけだと、また元に戻りやすいんです。
この記事を読めば、店長の労働時間に関わる決まりと、明日から使える仕事の仕分け方、上司への伝え方が分かります。
店長はブラック?長時間労働になりやすい理由
店長の仕事が長時間になりやすいのは、人が足りない時に自分が現場に入ることと、店長にしかできない仕事が多いことが重なるからです。会社や店の体制で大きく変わるので、「店長だから仕方ない」と決めつけなくて大丈夫です。
『店長ってブラックな仕事なの?』という声は、ネットでもよく見かけますよね。ただ、働き方は会社や業態、店の規模でかなり違います。
厚生労働省の通達には、小規模な店舗では店長など少数の正社員と多くのアルバイト・パートで運営されている実態がある、と書かれています。人が足りない時に店長が穴を埋める形になりやすいんです。
店長の時間を長くする場面
例えばこんな場面に、心当たりはありませんか。
| 場面 | 時間が延びる理由 | 見直しの方向 |
|---|---|---|
| 急な欠勤が出た | 代わりがいないので店長が入る | 代わりに入れる人を増やす |
| 閉店後の締め作業 | 売上・現金・日報が店長だけの仕事になっている | 締めの一部を任せる |
| 発注や在庫の確認 | 営業中にできず、営業後にまとめてやる | 時間帯を決めて営業中に済ませる |
| シフト作り | 希望の調整に何日もかかる | 希望の出し方と締切を決める |
| 本部への報告 | 書式が決まっておらず毎回考える | ひな形を作る |
こうして並べると、長時間になる原因の多くは「店長しかいない」「店長しかできない」に集まっています。ここが変えられるところなんです。
まず確かめたい労働時間と残業のルール
法律の労働時間は1日8時間・1週40時間が基本で、残業には36協定が要ります。店長が管理監督者に当たる場合は扱いが変わるので、自分の立場を就業規則で確かめておきましょう。
『店長って残業代が出ないものじゃないの?』と思っている方もいますよね。実は、そこは店長という肩書きだけでは決まらないんです。
厚生労働省の説明では、法定労働時間は「1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません」とされています。これを超えて働く時は、会社と労働者の代表が36協定を結んで届け出る必要があります。
残業時間の上限と割増賃金
36協定があっても、残業時間には上限があります。厚生労働省「知って役立つ労働法」と労働基準法の割増賃金の決まりをまとめると、次のとおりです。
| 決まり | 内容 |
|---|---|
| 残業の上限(原則) | 月45時間・年360時間 |
| 特別な事情がある時の上限 | 年720時間以内、単月100時間未満(休日労働を含む)、複数月平均80時間以内(休日労働を含む) |
| 月45時間を超えられる回数 | 年間6か月まで |
| 時間外労働の割増賃金 | 25%以上 |
| 月60時間を超えた分の割増 | 50%以上(中小企業も2023年4月1日から) |
| 法定休日に働いた分の割増 | 35%以上 |
| 深夜(22時から翌5時)の割増 | 25%以上 |
割増賃金は、雇用形態に関わらず全ての労働者に適用されます。いわゆるサービス残業は労働基準法違反とされています。
管理監督者の店長はどう変わる?
店長が労働基準法の「管理監督者」に当たる場合、労働時間・休憩・休日の規定は当てはまりません。この場合、36協定や残業の上限、時間外の割増賃金の決まりも適用されません。
ただし、管理監督者でも深夜の割増賃金は支払う必要があり、年次有給休暇も一般の労働者と同じように与えられます。会社による労働時間の状況の把握も、管理監督者を含めた全ての労働者が対象です。
厚生労働省のパンフレットには、会社が店長を管理職と位置づけていても、権限や待遇が足りなければ管理監督者には当たらない、とあります。その場合、残業手当を支払わないでよいことにはならない、と書かれています。
自分の扱いを確かめる書類
『自分が管理監督者として扱われているのか、そもそも分からない』という方も多いはずです。そんな時は、手元の書類から確かめてみましょう。
会社は労働契約を結ぶ時に、賃金や労働時間などの労働条件を明示しなければなりません(労働基準法15条)。始業・終業の時刻や休日は、書面で明示することになっています。
- 労働条件通知書や雇用契約書:始業・終業の時刻、休日、残業の有無
- 就業規則:管理監督者として扱う役職の範囲
- 給与明細:役職手当や残業手当がどう書かれているか
- タイムカードや勤怠の記録:実際に働いた時間
書類を見ても分からない時は、人事や上司に「自分の残業の扱いを確かめたい」と聞いてみてください。責める言い方ではなく、確認として聞けば十分です。
「名ばかり管理職」にならないための判断基準
管理監督者かどうかは、肩書きではなく実態で判断されます。厚生労働省の通達は、店長について「職務内容、責任と権限」「勤務態様」「賃金等の待遇」の3つの面から、管理監督者らしくない要素を示しています。
『自分は管理職だから、残業代が出なくても仕方ない』と思い込んでいませんか。まずは通達の中身を知っておくと、話がしやすくなります。
2008年9月に厚生労働省が出した通達は、多店舗展開する小売業・飲食業などの店長が対象です。示された要素は、どれも「管理監督者性を否定する要素」とされています。
| 見る点 | 管理監督者らしくないとされる例 |
|---|---|
| 採用 | アルバイト・パートの採用に関わる責任と権限が実質的にない |
| 解雇 | アルバイト・パートの解雇に実質的に関わらない |
| 人事考課 | 部下の評価に実質的に関わらない |
| 労働時間の管理 | シフト表の作成や残業の命令をする権限が実質的にない |
| 勤務態様 | 遅刻・早退で減給や評価の引き下げを受ける |
| 時間の裁量 | 人が足りない時に自分が現場に入らなければならず、長時間労働になっている |
| 賃金 | 時間単価にするとアルバイト・パートの時給に届かない |
厚生労働省のQ&Aでは、これらの否定要素に一つでも当てはまると、管理監督者に当たらない可能性が大きいとしています。「名ばかり管理職」という言葉も、このQ&Aで使われています。

- アルバイトの採用を自分で決められるか
- シフトを組む権限と、残業を命じる権限があるか
- 出退勤の時間を自分で決められるか
- 役職手当を含めた給料が、働いた時間に見合っているか
自分が当てはまるか気になる方は、名ばかり管理職とは?店長の残業代と管理監督者の判断基準と店長は管理職?管理監督者との違いもあわせて読んでみてください。
ここに挙げたのは判断の目安です。個別のケースが違法かどうかの最終的な判断は、会社の就業規則の確認や、労働基準監督署・専門家への相談で確かめてください。
店長の時間を3つに仕分けるワークシート
仕事を「自分しかできない仕事」「任せられる仕事」「やめられる仕事」に分けると、手放せる時間が見えてきます。全部を一度に変えなくても、1週間に1つ動かすだけで残業は減り始めます。
ルールを確かめても、仕事の量そのものが変わらなければ、店長の残業はなかなか減りません。ここからは、仕事を手放す方法です。
『任せるより自分でやった方が早い』と感じることもありますよね。
その気持ちは自然です。ただ、自分でやり続けるかぎり、その時間はずっと店長の時間のままなんです。
ステップ1:1週間の仕事を書き出す
まず1週間、やった仕事と、おおよその時間をメモしてみましょう。思い出して書くより、その日のうちに書く方が正確です。
ステップ2:3つの箱に分ける
書き出した仕事を、次の表の3つの箱に分けていきます。
| 箱 | 判断の目安 | 仕事の例 | 次の一歩 |
|---|---|---|---|
| 自分しかできない仕事 | 会社が店長に権限を決めている仕事 | スタッフの評価、採用の最終判断、本部との打ち合わせ | 時間を決めて集中してやる |
| 任せられる仕事 | 手順が決まっていて、教えればできる仕事 | 発注、売上の締め、開店準備、新人への説明 | 手順をメモにして1人に任せる |
| やめられる仕事 | 誰も困らない、または重なっている仕事 | 同じ内容の二重の記録、誰も見ていない掲示物の作り直し | 上司に確認してやめる |

ステップ3:1週間に1つ動かす
一度に全部を変えようとすると、店が混乱してしまうことも。まずは「任せられる仕事」から1つだけ選び、1人に任せてみましょう。
- 任せる仕事と相手を1つずつ決める
- 最初は一緒にやって、手順を見てもらう
- 次は相手にやってもらい、横で見守る
- 手順をメモにして、いつでも見られる場所に置く
- 任せた後は、やり直さずに結果を受け取る
任せる時の声かけの例
任せる時は、「なぜあなたに頼みたいのか」を一言添えると、相手も前向きに受け取りやすくなります。
| 場面 | 声かけの例 |
|---|---|
| 発注を任せる | 「〇〇さんは売場の減り方をよく見ているので、来週から飲み物の発注をお願いできますか」 |
| 締めを任せる | 「閉店後の締めを一緒にやってみませんか。最初の2回は横で見ていてもらえれば大丈夫です」 |
| 新人への説明を任せる | 「新人さんへのレジの説明、〇〇さんの教え方が分かりやすいのでお願いしたいんです」 |
| 任せた後のお礼 | 「発注、ありがとうございました。おかげで今日は閉店後の時間が短くなりました」 |
例えば、こんなやり取りになります。
「来週から、日曜の締めをお願いしてもいいですか」
「はい。最初は一緒に見てもらえると安心です」
任せたのに、細かいところが気になって店長が後からやり直してしまうことです。任された人は「信用されていない」と感じてしまいます。直したい点は、次の時に一言で伝えるくらいがちょうどいいですよ。
残業を減らすために上司に相談する時の伝え方
上司への相談は、気持ちより事実を先に伝えるのがコツです。「先月の残業が何時間だったか」「何の仕事で延びているか」「どうしたいか」の3つをそろえて話しましょう。
『上司に言っても、どうせ変わらない』と感じている方もいますよね。でも、数字と中身がそろった相談は、上司も本部に上げやすいんです。
人が足りない店ほど、店長一人では変えられないことが多くあります。応援の手配や人の採用は、上司や本部の協力があって進む話です。
相談の例文
お疲れさまです。先月の残業が〇時間になり、閉店後の締めと発注で特に時間がかかっています。締めの一部をスタッフに任せたいので、手順を変えることと、人を増やすことについて相談させてください。
| 伝えること | 例 |
|---|---|
| 今の状態 | 「先月の残業は〇時間で、休みは〇日でした」 |
| 時間がかかっている仕事 | 「閉店後の締めと、週2回の発注で毎回〇時間かかっています」 |
| 自分が考えている手 | 「締めをスタッフに任せる準備を始めています」 |
| 会社にお願いしたいこと | 「人の採用か、繁忙日の応援を相談させてください」 |
人手を増やす具体的な工夫は人手不足の店を回す店長の工夫で、休みの作り方は店長は休めない?休みを取るための工夫で紹介しています。
社外の相談先も知っておく
社内で相談しても変わらない時は、社外の窓口もあります。厚生労働省の総合労働相談コーナーは、全国の労働局や労働基準監督署内などにあり、予約不要・無料で相談できます。
労働条件相談ほっとライン(0120-811-610)は、違法な時間外労働や賃金不払残業などの相談先です。平日の夜と土日祝日に、無料・匿名で相談できます。
店長として積み上げた経験を、別の店や会社で活かしたくなる時もありますよね。
飲食業界で働き方を見直したい時は、RestLab(レストラボ)に相談する方法もあります。飲食店に特化した人材紹介サービスで、飲食業界に詳しいキャリアアドバイザーがマッチングを担当しています。
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知恵袋でよくある相談:店長の残業で迷うこと
Yahoo!知恵袋には、店長の残業や働き方についての相談がたくさん寄せられています。閲覧の多いものから3つ選んで、要点をまとめてお答えしますね。
アルバイトとして長く働いていて、いずれ店長になるかを考えているけれど、店長は大変だと聞いて迷っている、という相談です。
店長の働き方は、会社や店の体制でかなり違います。同じ業態でも、人がそろっている店と足りない店では、店長の時間の使い方がまったく違うんです。
迷っている時は、今の店の店長に「1日の流れ」や「休みの取り方」を聞いてみるのがおすすめです。店長側も、聞かれると仕事の中身を伝えやすくなります。
「店長になったら、1週間はどんな流れになりますか」
「発注と締めが中心かな。休みはシフトで先に決めているよ」
店長になる前に確かめたいことはバイト店長・アルバイト店長とは?でも紹介しています。
店長になると残業代が出ないと聞いたけれど、本当なのか、会社によって違うのか知りたい、という相談です。
結論から言うと、店長だから残業代が出ないとは限りません。店長が労働基準法の管理監督者に当たる場合に、時間外の割増賃金の決まりが当てはまらなくなります。
管理監督者に当たるかは、肩書きではなく、権限・働き方・待遇の実態で判断されます。
管理監督者でも、深夜の割増賃金は支払う必要があります。会社の就業規則や雇用契約書で、自分の扱いを確かめてみてください。
飲食店でアルバイトをしていて、店長がいつも長く働いているように見えるけれど、勤務時間の記録はどうなっているのか気になる、という相談です。
労働安全衛生法では、会社は管理監督者を含めた全ての労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません。方法はタイムカードやパソコンの使用時間の記録など、客観的な方法が基本です。
時間外・休日労働が1か月80時間を超えた人には、会社がその情報を本人に速やかに知らせることになっています。これは管理監督者も含みます。
店長がいつも長く残っているのを見て心配になるのは、優しい気持ちからですよね。「締めを手伝えることはありますか」と声をかけるだけでも、店長の助けになります。
働く場所そのものを見直したくなった時
ルールを確かめ、仕事を手放しても、店の体制によっては長時間の働き方が変わらないこともあります。その時は、働く場所を変えることも一つの選択肢です。
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よくある質問
店長は残業代が出ないのが普通ですか?
普通ではありません。店長が労働基準法の管理監督者に当たる場合に時間外の割増賃金の決まりが当てはまらなくなりますが、当たるかどうかは肩書きではなく実態で判断されます。管理監督者でも深夜の割増賃金は支払う必要があります。
店長の残業時間に上限はありますか?
管理監督者に当たらない店長には、36協定のうえで原則として月45時間・年360時間の上限があります。管理監督者に当たる場合は労働時間の規定は当てはまりませんが、会社は労働時間の状況を把握する必要があります。
店長がブラックな働き方から抜け出すには?
まず自分の立場と労働時間のルールを就業規則で確かめ、次に仕事を「自分しかできない」「任せられる」「やめられる」に分けて手放していきます。社内で変わらない時は、総合労働相談コーナーなど社外の窓口にも相談できます。
残業を減らしたいと上司に言うのは気が引けます。
気持ちではなく、先月の残業時間と、時間がかかっている仕事、自分が考えている手をそろえて伝えると、相談として受け取ってもらいやすくなります。
任せる相手がいない時はどうすればいいですか?
まずは「やめられる仕事」から手を付けてみてください。重なっている記録や誰も見ていない作業を上司に確認してやめるだけでも、時間は空きます。並行して、人を増やす相談を上司に上げておきましょう。
まとめ
- 店長の残業は「ルールを確かめる」と「仕事を手放す」を同時に進めると減らせる
- 法定労働時間は1日8時間・1週40時間。残業には36協定と上限がある
- 管理監督者かどうかは肩書きではなく、権限・働き方・待遇の実態で判断される
- 管理監督者でも深夜の割増賃金と年次有給休暇はあり、労働時間の状況も把握される
- 仕事を「自分しかできない」「任せられる」「やめられる」に分け、1週間に1つ動かす
- 上司への相談は、残業時間と時間がかかる仕事、自分の手をそろえて伝える





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