店長の新人教育・人材育成|スタッフが育つ教え方の手順

店長の新人教育と人材育成の手順を紹介する記事のアイキャッチ。厨房で先輩が新人に手元を見せて教える様子

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新人が入ってきたけれど、『何から教えればいいの?』『忙しくて教える時間がない』と悩んでいませんか。教えたつもりなのに覚えてもらえないと、店長としては焦ってしまいますよね。

結論から言うと、新人教育は「見せる、やらせる、任せる、振り返る」の4段階で進めると、教える側も教わる側も迷わなくなります。 育て方の正解は店や業態で違うので、この流れを土台に自分の店に合う形を作っていけば大丈夫です。

この記事を読めば、新人の最初の1か月の進め方と、リーダーや次の店長を育てる考え方まで分かります。

目次

店長の新人教育、まず何から始める?

先に結論

新人教育で最初に決めたいのは「誰が、いつ、何を教えるか」です。店長が全部を1人で教えようとせず、教える担当と順番を先に決めておくと、忙しい店でも教育が回り始めます。

国の職業情報サイトのjob tagでは、ハンバーガーショップ店長の仕事として、アルバイトの教育・管理が挙げられています。スタッフを育てることは、店長の大切な仕事の1つなんです。

ただ、『自分がやったほうが早い』と感じる場面も多いですよね。その気持ちは自然ですが、教えないままだと店長が抜けられない時間が増え、店長自身の負担がどんどん大きくなってしまいます。

教える前に決めておきたいこと

新人を迎える前のチェック
  • 最初の1か月で、どの仕事をどの順番で覚えてもらうか決めた
  • 教える担当のスタッフを決めて、本人に伝えた
  • 教える時間帯を、ピークを避けてシフトに入れた
  • 店の決まりや手順を、紙やマニュアルにまとめてある
  • 困った時に誰に聞けばいいか、新人に伝える準備ができている

手順がまとまっていないと、教える人によって言うことが変わり、新人が混乱してしまいます。マニュアルの作り方は店舗マニュアルの作り方で紹介しています。

教え方は「見せる・やらせる・任せる・振り返る」の4段階

4段階を順番に進めるのが、育つ近道

いきなり任せても、ずっと見せるだけでも人は育ちにくいものです。見せる、やらせる、任せる、振り返るを1つずつ進めると、新人は自信を持って仕事を覚えていけます。

ここがこの記事の中心です。教える流れを4つの段階に分けて、それぞれで店長がやることと、新人に伝えたい言葉をまとめました。

新人教育を見せる・やらせる・任せる・振り返るの4段階に分けた流れの図解
段階店長や教える人がやること新人の様子次に進む目安
見せる実際の仕事を、説明しながらやって見せる流れを見て覚える手順を自分の言葉で言える
やらせる隣について、新人にやってもらう教わりながら手を動かす声をかけなくても手順どおりにできる
任せる1人でやってもらい、少し離れて見守る1人で仕事をこなす困った時に自分から相談できる
振り返るできたこと・次の課題を一緒に話す自分の成長に気づく次に覚える仕事が決まる

見せる:まず「なぜそうするか」も一緒に伝える

最初は、教える人が実際にやって見せます。手順だけでなく、「なぜそうするのか」を一言そえると、新人は覚えやすくなるんです。

見せる時の言葉の例

「うちの店では、レジでお札を受け取ったら、すぐにしまわずにレジの上に置いておくんです。お釣りを渡すまで、受け取った金額をお客様と一緒に確かめられるからなんですよ」

やらせる:隣で見守りながら、手を出しすぎない

次は、新人に実際にやってもらいます。教える人は隣について、間違えそうな時だけ声をかけます。

『見ていられなくて、つい自分でやってしまう』という方もいますよね。ただ、ここで手を出しすぎると、新人はいつまでも1人でできるようになりません。少しくらい時間がかかっても、最後までやってもらいましょう。

任せる:1人でやってもらい、離れて見守る

やらせてみて手順どおりにできるようになったら、1人で任せます。このとき、「困ったら〇〇さんに声をかけてね」と、相談先を伝えておくのが大事です。

任せるのは、放っておくこととは違います。少し離れたところから様子を見て、困っていそうな時はこちらから声をかけましょう。

振り返る:できたことから先に話す

その日の終わりや週の終わりに、短い時間でいいので一緒に振り返ります。最初にできたことを伝え、そのあとに次の課題を1つだけ話すのがコツです。

振り返りで聞くこと声かけの例
できたこと「今日はレジ締めまで1人でできましたね」
困ったこと「やってみて、分かりにくいところはありましたか」
次に覚えること「来週は発注の手伝いもお願いしようと思います」
閉店後のバックヤードで、店長が新人とその日の振り返りをしている手元のイメージ写真

褒め方のコツは店長の褒め方でも紹介しています。

新人の最初の1か月を時間軸で見る

1か月の見通しを、新人にも見せておく

「いつまでに何ができればいいか」が分かると、新人は安心して仕事を覚えられます。店長が頭の中で考えている予定を、表にして共有しておきましょう。

『いつになったら1人で任せられるんだろう』と悩む店長は多いはずです。ここでは、新人の最初の1か月を時間軸の表にしてみました。店や業態によって進み方は違うので、あくまで一つの例として、自分の店に合わせて変えてみてください。

新人の最初の1か月を、初日・1週目・2週目・3週目・4週目の時間軸で示した図解
時期覚える仕事の例主な段階店長がやること
初日店の案内、身だしなみ、あいさつ見せる店のスタッフに紹介し、困った時の相談先を伝える
1週目一番よく使う仕事を1つ(レジ・品出し・ドリンクなど)見せる・やらせる教える担当と同じシフトにする
2週目1週目の仕事をくり返し、次の仕事を1つ足すやらせる週の終わりに短い振り返りをする
3週目落ち着いた時間帯に、1つの仕事を1人で任せる任せる少し離れて見守り、相談しやすくしておく
4週目ピークの時間帯にも少しずつ入る任せる・振り返る1か月の振り返りをして、次の目標を決める
1か月の見通しを伝える言い方の例

「最初の1週目はレジだけ覚えてもらえれば十分です。2週目からは品出しも少しずつ、月の終わりには夕方のピークにも入ってもらう予定です。分からないことは〇〇さんか私に聞いてくださいね」

業態ごとに、最初に教える仕事を決めておく

最初に何を教えるかは、業態によって変わります。新人が一番よく使い、できるようになると自信につながる仕事から始めるのがおすすめです。

業態の例最初に教えたい仕事の例後回しにしてよい仕事の例
飲食店のホールあいさつ、案内、お冷やの出し方会計の取り消しや予約の調整
飲食店のキッチン洗い場、仕込みの下準備、器の場所火を使う調理や味つけ
スーパー・コンビニレジの基本操作、品出し発注や返品の手続き
アパレル・雑貨店あいさつ、たたみ方、売場の整え方在庫の管理や売場の作り替え

覚えるのが早い人・ゆっくりな人がいて当たり前

同じ時期に入った新人でも、覚える早さには差があります。表の予定より遅れていても、それだけで向き不向きを決めないようにしましょう。

よくある失敗

「〇〇さんはもう1人でできるのに」と、ほかの新人と比べて伝えてしまうこと。比べられると、新人は焦って質問もしにくくなります。その人のできるようになったことに目を向けて話しましょう。

シフトに教える時間を組み込む方法は店長のシフトの作り方で紹介しています。

新人に伝わる教え方のコツと言葉の例

「何を」「どこまで」を具体的に伝える

「ちゃんとやって」「きれいにして」のような言葉は、人によって受け取り方が違います。何を、どこまでやればいいのかを具体的に伝えると、新人も迷わずに動けます。

教えているつもりでも、言葉があいまいだと伝わらないことがあるんです。よく使いがちな言葉を、具体的な言い方に変えてみました。

つい言いがちな言葉伝わりやすい言い方の例
「ちゃんと掃除しておいて」「テーブルを拭いたら、椅子をそろえて、床のごみがないかを見てね」
「早くして」「ピークの間は、まずお客様をお待たせしないことを優先してね」
「何回言ったら分かるの」「この手順、もう一度一緒にやってみようか」
「見て覚えて」「今から私がやるのを見てね。終わったら同じようにやってみよう」

注意する時は、行動だけを短く

ミスがあった時は、その場で短く、行動について伝えます。人柄や性格を責めるような言い方は避けましょう。注意の伝え方は店長の注意の仕方・叱り方で詳しく紹介しています。

厚生労働省は、パワーハラスメントの代表的な言動の1つとして「業務の遂行に必要な以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う」ことを挙げています。一方で、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指導は、パワーハラスメントにはあたらないとされています。

『どこまでが指導なのか分からない』と不安な方は、パワハラにならない指導とは?もあわせて読んでみてください。最終的な判断に迷う時は、会社の相談窓口や本部に確かめるのが安心です。

口で教えることと、紙で残すことを分ける

全部を口で教えようとすると、新人は覚えきれずに同じことを何度も聞くことになります。手順が決まっている仕事は紙やマニュアルに残し、口ではコツや理由を伝える、と分けておくと楽になりますよ。

紙やマニュアルに残すもの口で伝えるもの
開店・閉店の手順、レジの操作お客様への声のかけ方のコツ
掃除の場所と順番忙しい時に何を優先するか
困った時の連絡先その店ならではの気づかい

『何度も同じことを聞かれて困る』という時は、教え方より、残し方を見直すと解決することも多いんです。

新人が質問しやすい空気をつくる

新人は、忙しそうな店長や先輩に声をかけるのをためらうものです。「分からないことがあったら、手が空いた時にいつでも聞いてね」と、最初に伝えておくだけでも違います。

話しかけ方のコツは店長とスタッフのコミュニケーションで紹介しています。

店長育成と店長研修:次のリーダーを育てるには

人を育てられる人を育てると、店が強くなる

新人を育てるのに慣れてきたら、次は教える側のスタッフを育てる番です。リーダーや副店長が育つと、店長が1人で抱えていた仕事を分けられるようになります。

店長の人材育成は、新人教育だけでは終わりません。教える担当を任せられる人、時間帯の責任者を任せられる人を育てることで、店全体が回るようになるんです。

リーダーや副店長を育てる進め方

教える側を育てる手順
  1. 仕事を丁寧に覚えたスタッフに、新人の教える担当をお願いする
  2. 教え方の4段階を説明して、同じ流れで教えてもらう
  3. 新人の様子を、教えた本人から聞かせてもらう
  4. 慣れてきたら、時間帯の責任者を任せてみる
  5. 定期的に、困っていることを聞く時間をとる
任せる仕事の段階例えばこんな仕事店長がそえたいひと言
新人の教える担当自分が得意な仕事を新人に教える「〇〇さんの教え方が丁寧だから、お願いしたいんです」
時間帯のまとめ役落ち着いた時間帯の持ち場の割り振り「困ったら電話してね。判断は任せるよ」
店長の仕事の一部発注の手伝い、シフトの下書き「最初は一緒に見るので、気軽にやってみてください」
副店長や店長代行店長が休みの日の責任者「店長がいない日は〇〇さんに任せます、とみんなに伝えておくね」

『任せたいけど、まだ早い気がする』と迷う店長もいますよね。最初は短い時間や落ち着いた時間帯から任せて、少しずつ広げていけば大丈夫です。リーダーシップの考え方は店長のリーダーシップでも紹介しています。

店長研修では何をする?

店長候補の人からは、『店長研修ってどんなことをするの?』という声もよく聞きます。job tagでは、スーパー店長は上司の推薦による試験合格や研修修了を経て任命されることもある、と紹介されています。

ハンバーガーショップ店長のページでも、多くは各企業の養成機関で店の運営などの研修を集中的に受けることから始まる、とされています。店長研修の内容や期間は会社によって違うので、詳しくは自分の会社の上司や人事に聞いてみてください。

店長研修で身につけたいこと
  • 店の運営の流れと、会社のルール
  • スタッフの教え方と、シフトの組み方
  • 売上やお金の管理の基本
研修だけでは身につきにくいこと
  • 自分の店のスタッフとの関係づくり
  • 店ごとに違う忙しい時間帯の回し方
  • 実際の場面での判断の早さ

研修で学んだことは、店に戻って使ってみて初めて身につきます。研修の後は、学んだことを1つ選んで、店で試してみるところから始めましょう。

新人教育・店長の教育についてよくある相談

教わる側の気持ちを知ると、教え方が変わる

新人やスタッフは、店長の言葉や態度を思った以上に気にしています。よく見かける相談から、教える側ができる工夫を考えてみましょう。

ここでは、新人教育や店長の教育についてよく見かける相談を、店長の立場から考えてみます。

相談1 店長は、期待している新人には厳しいの?

新人の側から、『店長がやることなすことチェックしてくる。期待しているから厳しいの?』という相談がよくあります。見られ続けると、新人は緊張してしまうんですよね。

店長としては、早く覚えてほしい気持ちから細かく見ていることが多いものです。それなら、「今は〇〇を覚える時期だから、近くで見させてもらうね。慣れたら任せるよ」と、見ている理由と先の見通しを伝えておくと、受け止め方が変わります。

細かく見るのをやめる時期も、あらかじめ決めておくといいですよ。「今週できるようになったから、来週からは1人でお願いね」と伝えて離れると、新人は認められたと感じて、自分から動けるようになっていきます。

相談2 店長研修って、どれくらい大変?

店長研修を控えた人からは、『どれくらい大変なの?何をするの?』という不安の声もあります。研修の後、どのくらいで店長として働き始めるのかを気にする人も多いようです。

内容や期間は会社ごとに違うので、まずは上司や人事に流れを聞いておくのがおすすめです。先に聞いておくだけで、研修中に何を意識すればいいかが見えてきます。

研修を受ける側として、次のことを意識しておくと、研修の時間をむだにせずに済みます。

店長研修の前後でやっておきたいこと
  • 研修の前に、今の店で困っていることを3つ書き出しておく
  • 研修中は、店ですぐ試せそうなことに印をつけておく
  • 研修の後、上司に学んだことを短く報告する
  • 学んだことを1つ選び、自分の店で試してみる

相談3 年下の店長は、年上のパートに敬語で話す?

『店長が年下で、パートさんが全員年上。店長は敬語で話すもの?』という相談も見かけます。店によって雰囲気は違いますが、年上のスタッフに丁寧な言葉で話す店長は多いものです。

大事なのは、言葉づかいより、相手の経験を尊重して頼ることです。年上のスタッフとの接し方は若い店長が年上のスタッフとうまくやるにはで紹介しています。

人を育てた経験は、どこでも活かせる

新人を育て、教える側の人を育てる経験は、店長として大きな財産になります。もし、その力を飲食業界の別の店や会社で活かしてみたくなった時は、業界に詳しい転職支援サービスに話を聞いてみる方法もあります。

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よくある質問

新人教育は、店長が全部やらないといけませんか?

店長が全部を1人で教える必要はありません。教える担当のスタッフを決めて、教え方の流れをそろえておけば、店長はその様子を見守り、振り返りの時間を持つ形でも十分です。

新人に何回教えても覚えてもらえない時は?

教える量が多すぎないか、言葉があいまいになっていないかを見直してみましょう。一度に教える仕事を1つにしぼり、やって見せてから一緒にやる流れに戻すと、覚えやすくなることがあります。

店長の育成は、何から始めればいいですか?

まずは、新人の教える担当をお願いするところから始めるのがおすすめです。人に教える経験は、時間帯の責任者や副店長を任せる時の土台になります。

教える担当のスタッフが忙しくて、新人を見られない時は?

教える時間を、ピークを避けた時間帯にシフトで確保しておくのがおすすめです。教える担当が1人に偏っている時は、仕事ごとに担当を分けると負担が軽くなります。

店長研修の内容は会社で違いますか?

違います。job tagでも、研修修了を経て店長に任命されることや、企業の養成機関で研修を受けることが紹介されていますが、内容や期間は会社ごとに決まっています。上司や人事に確かめておきましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 新人教育は「見せる、やらせる、任せる、振り返る」の4段階で進める
  • 最初の1か月の予定を時間軸の表にして、新人にも見通しを伝える
  • 「何を」「どこまで」を具体的に伝え、注意は行動だけを短く
  • 教える側のスタッフを育てると、店長の負担が分けられる
  • 店長研修の内容は会社で違うので、上司や人事に流れを確かめておく
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店長ドットコム 編集部

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