食品衛生責任者とは?店長が取る講習の内容と取り方

食品衛生責任者と店長の関係、講習の取り方を紹介する記事のアイキャッチ。開店前の厨房に置かれた講習テキストとクリップボード

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店長を任されることになって、『食品衛生責任者を取っておいて』と言われた方もいるはずです。名前は聞いたことがあっても、何をする役なのか、どうやって取るのかは分かりにくいですよね。

結論から言うと、食品衛生責任者は、食品を扱うお店ごとに定めることになっている衛生管理の中心役で、資格がなくても6時間程度の講習を受ければなれます。 店長が務めることが多いので、取り方と役割を知っておくと安心です。

この記事を読めば、食品衛生責任者と店長の関係、講習の中身、申し込みから店の届け出までの流れが分かります。

目次

食品衛生責任者とは?店長が任されることが多い役

先に結論

食品衛生責任者は、許可や届出が必要な食品の営業をするお店で、営業者が定めることになっている役です。お店の衛生管理の中心になって、スタッフに注意をしたり、営業者に意見を伝えたりします。

食品衛生責任者の決まりは、食品衛生法施行規則の別表第十七に書かれています。営業者、つまりお店を営む会社やオーナーは、食品衛生責任者を定めることになっているんです。

『店長だから自動的に責任者になるの?』と思うかもしれません。実は、法律が決めているのは「営業者が定める」ということで、店長である必要はないんです。

ただ、毎日お店にいて、スタッフに声をかけられる立場なのは店長ですよね。そのため、会社の方針で店長が食品衛生責任者を務めることが多くなっています。

決まりに書かれている役割

別表第十七の内容を、店長の目線で言いかえてみました。

決まりの中身店で言いかえると
営業者は食品衛生責任者を定める会社やオーナーが、店の責任者を決めておく
講習会を定期的に受け、新しい知識の習得に努める(許可営業)一度取って終わりではなく、学び直しの機会がある
営業者の指示に従って衛生管理に当たる会社やオーナーの方針にそって店の衛生を見る
営業者は食品衛生責任者の意見を尊重する責任者の気づきを会社やオーナーが受け止める
必要な注意をし、営業者に意見を述べるよう努めるスタッフに声をかけ、気づいたことを上に伝える

つまり、食品衛生責任者は「店の衛生のことを一番よく見ていて、上にも下にも伝える人」なんです。

店の届け出にも名前が載る

営業許可の対象でない食品の営業でも、多くは保健所への営業届出が必要です。その届出事項の中に「食品衛生責任者の氏名」が入っています。

食品衛生責任者が替わった時の手続きは、自治体や本部の決まりで進め方が違います。異動や退職で担当が替わる時は、早めに本部や保健所に確かめておきましょう。

HACCPに沿った衛生管理との関係

令和3年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者に、HACCPに沿った衛生管理が求められています。飲食店の多くは「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に当たり、手引書をもとに計画を作り、記録をつけていきます。

この計画づくりや毎日の記録を回す中心になるのも、食品衛生責任者であることが多いです。毎日のチェックの進め方は、店長の衛生管理でくわしく紹介しています。

店長は食品衛生責任者を持っていないといけない?なれる人は?

店長が持つかどうかは会社の決め方しだい

法律では「店長が持つこと」とは決まっていません。ただ、会社やオーナーから店長に任されることが多いので、店長になる前後に講習を受けるよう言われることがよくあります。

食品衛生責任者になれる人は、大きく分けて3つのパターンがあります。『講習を受けないとなれないの?』と思う方も多いですが、持っている資格によっては講習なしでなれるんです。

パターンなれる人講習
食品の資格を持っている調理師、製菓衛生師、栄養士、管理栄養士、船舶料理士など受けなくてよい
専門の資格要件を満たす食品衛生監視員または食品衛生管理者の資格要件を満たす人など受けなくてよい
講習を受ける都道府県知事等が行う講習会、または知事等が適正と認める講習会を受けた人受ける

東京都の説明では、資格を持たない人は計6時間程度の養成講習会を受けることになっています。調理師などの資格がある方は、まずその免許で食品衛生責任者になれるかを、管轄の保健所で確かめてみてください。

店長が務める時と、別の人が務める時

お店によっては、店長ではなく料理長や社員の誰かが食品衛生責任者になっていることもあります。どちらが正しいというより、店の体制で決まると考えておけば大丈夫です。

店長が務める場合
  • スタッフ全員に声をかけやすい
  • 店の決まりと衛生のルールをまとめて伝えられる
  • 本部や保健所とのやりとりが一本になる
別の人が務める場合
  • 厨房の作業にくわしい人が細かく見られる
  • 店長は報告を受けて判断する役に回る
  • 誰が何を見るかを店長と話して決めておく必要がある

別の人が務める場合も、店長が何も知らなくていいわけではありません。責任者から「冷蔵庫の温度が上がっていました」と聞いた時に、すぐ動けるようにしておきたいですよね。

責任者と店長で、例えばこんなやりとりができていると安心です。

責任者と店長の会話の例

責任者「今朝、冷蔵庫の温度がいつもより高めでした。中の食材を別の冷蔵庫に移しておきました」
店長「ありがとう、助かったよ。記録表にも書いておいてね。業者さんへの連絡は私からしておくね」

取り方は4ステップ「申し込む・受講する・書類を受け取る・店で届け出る」

流れを知っておくと、シフトの調整がしやすい

講習は1日がかりになることが多いので、店長は自分やスタッフの受講日をシフトに入れておく必要があります。申し込みから店の届け出まで、4つのステップで考えるとスムーズです。

ここがこの記事の中心です。食品衛生責任者を取る流れを、店長の段取りとして4つに分けてみました。

食品衛生責任者の取り方を、申し込む・受講する・書類を受け取る・店で届け出るの4ステップで示した図解
食品衛生責任者を取るまでの流れ
  1. 申し込む:お店のある地域の講習会を探し、日程と受講方法を選んで申し込む
  2. 受講する:講習会に出て、食品衛生学・公衆衛生学・食品衛生法などを学ぶ
  3. 書類を受け取る:講習を終えたことを示す書類を受け取り、なくさないよう保管する
  4. 店で届け出る:本部や営業者に伝え、必要な許可申請や届出に名前を載せてもらう

ステップ1 申し込む

講習会は、都道府県ごとに食品衛生協会などが開いています。日程や受講料、受講方法は地域で違うので、お店のある地域の案内を見てみてください。

東京都食品衛生協会では、会場で受ける講習会のほかに、eラーニング型の講習会もあります。会場に行く日を作りにくい時は、こうした受け方が選べるかも確かめておきましょう。

申し込みの前に確かめること
  • 会社が受講料を負担するか、立て替えの精算方法はどうか
  • 受講日を出勤扱いにするか、休みの日に行くか
  • 会場の講習とeラーニングのどちらを選んでよいか
  • 誰の名前で届け出るか(自分か、別のスタッフか)

ステップ2 受講する

受講日は朝から夕方までお店を空けることになります。店長が受けに行く日は、副店長や社員に開店や締めを任せられるよう、前もって段取りしておきましょう。

スタッフに受けてもらう時の声かけは、例えばこんな形です。

受講をお願いする時の声かけの例

「来月、食品衛生責任者の講習を受けてもらえないかな。受講日はシフトで出勤扱いにするね」
「〇〇さんが取ってくれると、私が休みの日も店の衛生を見てもらえて助かるんだ」

ステップ3 書類を受け取る

講習を終えると、修了したことを示す書類などを受け取ります。どんな形の書類か、なくした時に再発行できるかは、講習を開いた団体によって違います。

お店に掲示するよう本部から言われていることもあります。原本は店の決まった場所か本部で保管し、コピーを店に置くなど、扱いを決めておくと安心です。

ステップ4 店で届け出る

食品衛生責任者の名前は、営業許可の申請や営業届出の中で保健所に伝えます。手続きをするのは営業者なので、チェーン店なら本部、個人店ならオーナーと相談して進めます。

よくある失敗

講習は受けたのに、本部やオーナーに伝え忘れて、店の届け出の名前が前の店長のままになっていることがあります。受講が終わったら、その週のうちに報告しておきましょう。

講習の内容と時間・受講料の例

東京都の例では6時間・受講料12,000円

東京都食品衛生協会の養成講習会は、テストを含めて6時間です。受講料は都道府県で違うので、ここでは1つの例として見てください。

『講習って、テストに落ちたらどうしよう』と心配になる方もいますよね。講習は、お店で食品を扱う時に知っておきたいことを、まとめて学ぶ場です。

東京都食品衛生協会の養成講習会(会場で受ける講習)を例に、中身を表にしました。

項目東京都食品衛生協会の例
講習時間6時間(午前9時45分から午後4時30分、テストを含む)
食品衛生学2時間30分
公衆衛生学30分
食品衛生法3時間
受講料12,000円(受講料10,000円は非課税、教材費等2,000円)
受講できる人17歳以上(高校生は受講できない)
ほかの受け方eラーニング型の講習会もある(料金はこの記事では確かめていない)

出典は東京都食品衛生協会「食品衛生責任者養成講習会」です。ほかの道府県では、受講料や日程が違うことがあります。

店長として講習で押さえておきたいところ

講習で学ぶことは、そのまま店のルールづくりに使えます。特に、法律の時間で学ぶ「営業者と責任者の役割」は、本部やオーナーと話す時の土台になるんです。

講習の後、店で見直したいこと
  • 手洗いのタイミングを店のルールとして決めてあるか
  • 食材の保管場所と期限の確かめ方が決まっているか
  • 器具や布巾の洗い方と置き場所がそろっているか
  • 衛生管理の記録を誰がいつつけるか決まっているか
  • 気づいたことを本部やオーナーに伝える方法があるか

スタッフの受講も考えておく

店長が1人で食品衛生責任者を務めていると、休みや異動の時に困ることがあります。会社の方針しだいですが、副店長や社員にも講習を受けてもらっておくと、いざという時に助かります。

例えば、急な異動が決まった時に、店に講習を受けた人が誰もいないと、次の人が受講するまで落ち着きませんよね。早めに2人目を育てておくと、店長自身も休みを取りやすくなります。

食品衛生責任者のよくある勘違いと本当のところ

「資格を持っている人が常に見張る役」ではない

食品衛生責任者は、店の衛生管理の中心になる人です。ただ、1人で全部をやる役ではなく、スタッフ全員で衛生を守る仕組みを回す役と考えると分かりやすいです。

食品衛生責任者については、聞いた話のまま覚えている人も多いんです。よく耳にする勘違いを、決まりと照らして並べてみました。

食品衛生責任者についてのよくある勘違いと、決まりにそった本当のところを並べた図解
よくある勘違い本当のところ
店長が持つと法律で決まっている法律は「営業者が定める」と決めている。誰にするかは会社やオーナーが決める
講習を受けないとなれない調理師、製菓衛生師、栄養士などの資格がある人は、講習なしでなれる
一度取れば何もしなくていい許可営業では、講習会を定期的に受けて新しい知識を学ぶよう努めることになっている
責任者が1人で衛生管理をする営業者の指示に従って衛生管理に当たり、スタッフに注意をし、営業者に意見を伝える役
受講料は全国どこでも同じ都道府県(各食品衛生協会)ごとに受講料や日程が違う
高校生のアルバイトでも受けられる東京都食品衛生協会の例では17歳以上で、高校生は受講できない

『え、うちの店ではずっとそう言われてきた』と思った項目もあるかもしれません。店ごとの細かい扱いは、本部の決まりや保健所の案内で確かめるのが一番です。

毎日の仕事にどうつなげる?

食品衛生責任者になった店長が、ふだんの営業でやることはそれほど特別ではありません。開店前・営業中・閉店後に、決めた項目を確かめて記録することが中心です。

スタッフへの声かけの例

「仕込みの前に、手洗いと食材の日付だけ一緒に見ておこう」
「冷蔵庫の温度、記録表につけてくれてありがとう。助かるよ」

注意をする時も、責めるより「店のルールだから一緒に守ろう」という伝え方の方が続きやすいです。言い方に迷う時は、店長の注意の仕方・叱り方も参考にしてみてください。

ほかに店で求められることがある役

食品衛生責任者のほかにも、店の広さや人数によっては防火管理者を置くことになっています。店長が両方を任されることもあるので、防火管理者とは?もあわせて読んでおくと安心です。

店長に関わる資格の全体像は、店長に役立つ資格一覧で、店に置くことが決まっている物と仕事で役立つ物に分けて紹介しています。

講習で学んだことを、次の働き方に活かす

食品衛生責任者の講習で学んだことや、店の衛生管理を回してきた経験は、飲食店で働き続ける時の土台になります。厨房とホールをまとめる店長の仕事は、飲食店の店長の仕事内容でも紹介しています。

今の店で学んだことを、別のお店や会社で活かしたくなった時は、飲食業界に特化した人材紹介サービスに話を聞いてみる方法もあります。

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食品衛生責任者についてよくある相談

迷った時は「営業者」と「保健所」に確かめる

食品衛生責任者の細かい扱いは、営業の種類や自治体で変わることがあります。ここでは、よく寄せられる相談への考え方を紹介します。

食品衛生責任者について、知恵袋などでよく見かける相談を3つ選んで、要約して答えてみます。

相談1 責任者はいつも店にいないといけない?

経営者として店を持つけれど、自分はふだん店にいない。資格のない店長に管理を任せてもいいのか、という相談です。

決まりでは、営業者が食品衛生責任者を定め、責任者は営業者の指示に従って衛生管理に当たることになっています。毎日の衛生管理を見るのは実際に店にいる人なので、店に立つ店長に講習を受けてもらう形を考えてみるとよいですよ。

いつも店にいる必要があるかなど、細かい扱いは自治体の案内で違うこともあります。開業や体制を決める前に、管轄の保健所に相談しておくと安心です。

相談2 スーパーでは部門ごとに置くの?

肉・魚・青果・惣菜など部門が分かれているスーパーで、部門ごとに資格を持った人を置くのか、店長や副店長だけでいいのか、という相談です。

決まりは「営業者が食品衛生責任者を定める」というものです。部門ごとにどう置くかは、営業の許可や届出の単位、会社の方針で変わることがあるので、まずは本部の担当に聞いてみてください。

部門ごとに担当がいなくても、各部門で衛生のチェックをする人を決めておくと、店全体の管理がしやすくなります。

相談3 昔取った修了の書類をなくしてしまった

学生のころに講習を受けたけれど、修了の書類が見当たらない。再発行できるのか、という相談です。

再発行ができるか、どんな手続きになるかは、講習を開いた団体ごとに違います。受講した地域の食品衛生協会などに問い合わせてみてください。

問い合わせる前にまとめておくこと
  • 受講したおおよその年と地域
  • 受講した時の名前(名字が変わっていればその前の名前も)
  • 講習を開いた団体が分かればその名前

よくある質問

食品衛生責任者は店長が取らないといけませんか?

法律で決まっているのは、営業者が食品衛生責任者を定めることです。店長が取るかどうかは会社やオーナーの方針で決まりますが、店長に任されることが多い役です。

講習はどのくらいの時間がかかりますか?

東京都食品衛生協会の養成講習会では、テストを含めて6時間です。日程や受講方法は地域によって違うので、お店のある地域の案内を確かめてください。

受講料はいくらですか?

東京都食品衛生協会の例では12,000円(受講料10,000円は非課税、教材費等2,000円)です。都道府県ごとに違うので、全国同じ金額ではありません。

調理師の資格があれば講習は要りませんか?

東京都の説明では、調理師、製菓衛生師、栄養士、管理栄養士などの資格がある人は講習が免除されます。お店のある地域の保健所で確かめておくと安心です。

アルバイトでも食品衛生責任者になれますか?

決まりでは、資格や講習の条件を満たした人の中から営業者が定めます。誰に任せるかは会社やオーナーの方針しだいなので、店長と相談して決めてください。

まとめ

この記事の要点
  • 食品衛生責任者は、営業者が定めることになっている店の衛生管理の中心役
  • 店長が持つと法律で決まっているわけではないが、店長が任されることが多い
  • 調理師などの資格がある人は講習なし、ない人は講習会を受けてなれる
  • 取り方は「申し込む・受講する・書類を受け取る・店で届け出る」の4ステップ
  • 受講料や日程は地域で違い、東京都の例では6時間・12,000円
  • 細かい扱いに迷ったら、本部やオーナー、管轄の保健所に確かめる
店長ドットコム

店長ドットコム 編集部

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