当サイトの記事は編集部が公的機関の情報や辞書、公表されている統計などの公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内に転職支援サービスへの案内(広告)を含みます。
スタッフから「店長、お客様がお呼びです」と声がかかった瞬間、胸がぎゅっとなりますよね。『何を言われるんだろう』『うまく収められるかな』と、店長でも不安になるものです。
結論から言うと、店長のクレーム対応は「受け止める、確かめる、提案する、見送る、共有する」の5段階で進めると、慌てずに対応できます。 細かい対応の決まりは会社や業態で違うので、この流れを土台に、自分の店のルールに合わせていけば大丈夫です。
この記事を読めば、店長が呼ばれた時の段階ごとの言い方と、本社への報告の仕方まで分かります。
店長がクレーム対応に呼ばれたら、まず何をする?
呼ばれたら、まずスタッフから「何があったか」を短く聞いてから、お客様の前に出ます。その場で白黒をつけようとせず、お客様の話を最後まで聞くことから始めましょう。
クレームと聞くと身構えてしまいますが、実はお客様の声は店にとって大事な情報なんです。厚生労働省のカスタマーハラスメント対策企業マニュアルでも、顧客等からの意見や苦情は本来、商品やサービス、接遇等の改善につながる重要な情報だとされています。
ですから、店長のクレーム対応の目的は「お客様を言い負かすこと」ではありません。お客様の困りごとを解決し、店の改善につなげることなんです。
お客様の前に出る前にやること
スタッフから呼ばれた時、いきなりお客様の前に出るのは少し危険です。状況を知らないまま話すと、言うことがスタッフとずれてしまうことも。
- 対応していたスタッフから、何があったかを一言で聞く
- お客様が何に困っているのか、何を求めているのかを確かめる
- スタッフには「ありがとう、ここからは私が話すね」と伝える
- 店長が名乗ってから、お客様の話を聞き始める
スタッフに聞く時は「何があったの?」より、「お客様は何に困っていらっしゃる?」と聞くほうが、短く的確な答えが返ってきます。
最初のひと言で、その後の流れが変わる
お客様の前に出たら、最初は名乗りとお詫びのひと言からです。ここでの言い方は、例えばこんな形です。
「お待たせいたしました。店長の〇〇でございます。このたびはご不快な思いをおかけして、申し訳ございません。くわしくお聞かせいただけますか」
このお詫びは、まだ「店に落ち度があった」と認めるものではありません。お客様が不快な思いをされたことへのお詫びなので、安心して口にして大丈夫ですよ。
「店長を呼べ」「店長を出せ」と言われる心理は?
「店長を呼べ」と言うお客様の多くは、責任のある人にきちんと受け止めてほしい、話を前に進めてほしいと考えています。心理が分かると、最初の対応が選びやすくなります。
『店長を出せ、と言われるのは怖い』という方も多いはずです。ただ、店長を出せと言うお客様の心理には、いくつかの型があります。
ここでは、よくある心理と、それに合う最初の言葉をまとめました。
| お客様の心理 | よくある言葉 | 店長の最初の言葉の例 |
|---|---|---|
| 話を聞いてもらえていないと感じている | 「さっきから同じことを言ってるんだけど」 | 「お手間をおかけしました。最初から私がお聞きします」 |
| 決められる人と話したい | 「あなたじゃ分からないでしょ、店長を呼べ」 | 「店長の〇〇です。私のほうで判断いたします」 |
| 店の姿勢を確かめたい | 「この店はどうなってるの」 | 「ご指摘ありがとうございます。店として受け止めます」 |
| 怒りの持って行き場がない | 「せっかく楽しみにして来たのに」 | 「楽しみにしてくださっていたのに、申し訳ございません」 |
| 今後も来たい気持ちがある | 「いつも来ているのに」 | 「いつもありがとうございます。だからこそ、きちんと伺います」 |
どの心理でも共通するのは、「この人なら話が通じる」と感じてもらうことです。店長が出てきたこと自体に、お客様はひと区切りを感じることが多いんです。
スタッフが「店長を呼べ」と言われた時の返し方
店長がいない時間に「店長を呼べ」と言われることもありますよね。スタッフには、その時の言い方を先に教えておくと安心です。
「申し訳ございません。本日、店長は不在にしております。責任者の〇〇がお話を伺いますので、少々お待ちいただけますか」
店長が戻る時間をはっきり約束できない時は、「店長に申し伝えます」と伝えておくと角が立ちません。
店長が不在の時に誰が出るのか、時間帯ごとの責任者を決めておくのも店長の仕事です。この決まりは店舗マニュアルの作り方で紹介している店のマニュアルに入れておくと、新人にも伝わります。
クレーム対応の5段階:呼ばれた時の言い方の例文
受け止める、確かめる、提案する、見送る、共有するの順に進めます。急いで提案に飛ぶと、お客様は「話を聞いてもらえていない」と感じてしまいます。
ここがこの記事の中心です。店長がクレーム対応で踏む流れを5つの段階に分け、段階ごとに言い方の例をまとめました。

| 段階 | 店長がやること | 言い方の例 | 避けたい言い方 |
|---|---|---|---|
| 受け止める | 話をさえぎらずに最後まで聞く | 「さようでございましたか」「ご不快な思いをおかけしました」 | 「でも」「ですが」から話し始める |
| 確かめる | 何が起きたか、何を求めているかを確かめる | 「〇〇の件で、△△ということでよろしいでしょうか」 | 「本当ですか?」と疑うように聞く |
| 提案する | 店としてできることを示す | 「お作り直しと、お取り替えのどちらがよろしいでしょうか」 | 「決まりなので無理です」だけで終える |
| 見送る | お礼とお詫びで締めくくる | 「お知らせいただき、ありがとうございました」 | 黙って頭を下げるだけで終える |
| 共有する | スタッフや本部に伝え、次に活かす | 「今日の件、明日の朝礼でみんなに話すね」 | 店長だけが知っている状態にする |
受け止める:話をさえぎらない
最初の段階は、お客様の話を最後まで聞くことです。途中で言い訳をしたくなっても、ここはぐっとこらえましょう。
『でも、それはお客様の勘違いでは…』と思う場面もありますよね。そう感じるのは自然です。ただ、まずは全部聞いてから確かめるほうが、結果的に早く収まります。
相づちは「はい」だけを繰り返すより、「さようでございましたか」「それはお困りでしたね」と言葉を変えると、聞いている気持ちが伝わります。
確かめる:事実と希望を分けて聞く
話を聞き終えたら、何が起きたのかと、お客様が何を望んでいるのかを確かめます。この2つを分けて聞くのが大事なところです。
例えば、料理の提供が遅れた件なら、こんなやりとりになります。
「ご注文から時間がかかってしまった、ということでよろしいでしょうか」
「そうよ。それに、遅れるなら一言ほしかった」
この場合、お客様が一番気にしているのは「遅れたこと」より「何も言われなかったこと」かもしれません。確かめる段階で、こうしたお客様の本音が見えてきます。
提案する:できることを選べる形で示す
事実と希望が分かったら、店としてできることを伝えます。1つだけ示すより、2つほど選べる形にすると、お客様が納得しやすくなるんです。
- 店長の判断でできることと、本部の判断が必要なことを分けた
- 返金や交換など、会社の決まりがある対応を確かめた
- その場で約束できないことは、約束しないと決めた
- 提案の言い方を、選べる形にした
会社の決まりで店長の判断ではできないことは、「本部に確認して、〇日までにご連絡いたします」と期限をつけて伝えます。その場で約束してしまうと、あとで守れなくなることもあります。
見送る:最後はお礼で締める
話がまとまったら、お詫びとお礼でお見送りします。「ご意見をいただき、ありがとうございました」と伝えると、お客様も気持ちよく帰りやすくなります。
可能なら、お帰りの際に出入口までお見送りしましょう。最後の印象が変わると、また来ていただけることもあるんです。
共有する:店長だけで終わらせない
最後の段階は、クレームの内容をスタッフや本部と共有することです。ここを飛ばすと、同じことがまた起きてしまいます。
共有する時は、責める形にしないのがポイントです。「誰が悪かったか」ではなく「次はどうするか」を話すと、スタッフも前向きに受け止められます。
「昨日、お料理の提供が遅れたことでお客様からご意見をいただきました。遅れそうな時は、席に一言お伝えしに行くことにしましょう。気づいた人が声をかけてくれると助かります」
店長がクレーム対応しないのはあり?出る時・任せる時と本社への報告
店長がクレーム対応しないで、スタッフや時間帯の責任者に任せる店もあります。大事なのは、どの場面で店長が出るかを店で決めて、スタッフと共有しておくことです。
『店長はクレーム対応しないの?』とスタッフから思われるのは、店長としてもつらいですよね。ただ、店長が全部のクレームに出ると、ほかの仕事が止まってしまうこともあります。
そこで、店長が出る場面と任せる場面を分けておくと、店全体が落ち着いて対応できます。
| 場面 | 誰が対応するか | 店長がやること |
|---|---|---|
| 注文の間違いなど、その場で直せること | 対応したスタッフ | あとで報告を受けて、必要なら声をかける |
| お客様が責任者を求めている | 店長か時間帯の責任者 | お客様の前に出て、5段階で対応する |
| 返金や補償など、会社の決まりがかかわる | 店長 | 決まりを確かめ、必要なら本部に相談する |
| 大声や長時間の居座りなど、度を超えている | 店長と複数のスタッフ | 1人で対応させず、本部や警察への連絡も考える |
| 電話やメールで本社に届いた | 本部と店長 | 事実を確かめて、本部に報告する |
スタッフに任せる場面でも、あとで「どうだった?」と聞くひと言は欠かさないようにしましょう。任せっぱなしにせず、終わったあとに声をかけることで、スタッフは安心して対応できるようになります。
店長がいない時間のクレームはどうする?
店長がいない時間にクレームがあった時は、その時間の責任者が対応して、あとで店長に報告する流れが一般的です。報告を受けた店長は、必要ならお客様に改めて連絡します。
報告を受けた店長が「わかった」とだけ答えて、その後の対応を誰も知らないままになることがあります。お客様に連絡したのか、しないのか、対応した人に結果を伝えておきましょう。
本社にクレームが入った時、店長はどう動く?
本社にクレームが入ると、店長に事実確認の連絡が来ることがあります。言い訳を先に書かず、いつ、何があったか、どう対応したかを順番に報告しましょう。
お客様が店ではなく本社にクレームを入れることもありますよね。本社から連絡が来ると、店長としては『何か言われるのでは』と身構えてしまうものです。
ただ、本社が店長に聞きたいのは、まず事実です。お客様の話と店の記録を照らし合わせるためなんです。
- 本社から聞いた内容をメモして、日時と場面を確かめる
- その時間に働いていたスタッフに、何があったかを聞く
- レシートや日報など、店に残っている記録を確かめる
- 分かったことと、分からないことを分けて本社に報告する
- 本社と相談して、お客様への連絡や店の改善策を決める
報告の書き方は、例えばこんな形にすると伝わりやすくなります。
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 日時 | 〇月〇日の夕方、ディナーの時間帯 |
| 起きたこと | お料理の提供が遅れ、お客様にお声がけができていなかった |
| その場の対応 | 時間帯の責任者がお詫びし、お会計時に改めてお詫びした |
| 原因 | 注文が重なった時に、席への声かけの担当が決まっていなかった |
| 今後の対策 | 提供が遅れそうな時は、ホールの担当が席にお伝えする |
本部への報告の書き方は、店長の報告・日報の書き方でも例文つきで紹介しています。
理不尽な要求に変わったら?カスハラとの境目
お客様の意見や苦情そのものは、店の改善につながる大事な情報です。ただ、要求や言い方が度を超えた時は、店長1人で抱えず、店と会社のルールに沿って対応します。
クレームの中には、だんだん理不尽な要求に変わっていくものもあります。厚生労働省は、顧客等の言動のうち、社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境が害されるものをカスタマーハラスメントとしています。
そして、労働施策総合推進法の改正で、カスハラについて事業主が雇用管理上必要な措置を講じることが義務化され、令和8年10月1日から施行されています。お店も、会社として備えておくことが求められているんです。
- 要求に理由がない、またはサービスを大きく超える要求をされる
- 土下座を求められる、暴言や脅すような言葉を言われる
- 大きな声で威圧される、同じ要求を何度もしつこく繰り返される
- 店から帰らずに居座られる、長時間引き止められる
厚生労働省のリーフレットには、事業主が決めておく対応の例が挙げられています。管理監督者に指示を仰ぐ、可能な限り一人で対応させない、犯罪に当たりうる言動は警察へ通報する、本社や本部へ情報を共有する、といったものです。
店長がやることは、この方針を店の中で実際に動く形にしておくことです。「こういう時は店長を呼ぶ」「こういう時は2人で対応する」とスタッフに伝えておくだけでも、いざという時の動きが変わります。
カスハラへの備え方は、カスハラから店とスタッフを守るにはでくわしく紹介しています。
店長のクレーム対応、よくある相談
店長のクレーム対応についての相談は、出る・出ないの線引きや、謝罪の仕方に集まりがちです。会社のルールを確かめ、店長1人で抱えない形を作れば、多くの迷いは小さくなります。
知恵袋などでよく見かける、店長のクレーム対応についての相談を3つ取り上げて、考え方をまとめました。
相談1 店長がクレーム対応しないのは普通?
スタッフの側から、『店長になったらクレーム対応しないのが普通なの?』という声があります。自分たちが前に出ているのに、店長が出てこないと感じると、不満に思いますよね。
店長がいつもクレーム対応に出るかどうかは、店や会社で決め方が違います。店長は売場や厨房を回しながら、本部とのやりとりも抱えていて、すぐに出られないこともあるんです。
それでも、スタッフが困った時に頼れる形は作っておきたいところです。店長の側なら「責任者を求められたら、すぐ呼んでね」と先に伝えておくだけで、スタッフの不安はずっと軽くなります。
相談2 お詫びの訪問は、玄関先で済ませるもの?
店長を務める人からは、『お詫びにお客様のお宅へ伺う時、玄関先で済ませていいの?』という相談もあります。初めてだと、どこまで踏み込むべきか迷いますよね。
訪問するかどうか、どこでお話するかは、会社の決まりや本部の判断に従うのが基本です。店長が1人で決めず、本部に相談してから動くようにしましょう。
お宅に伺う場合も、店長1人ではなく、上司や本部の担当と一緒に行けるか相談してみてください。お話の内容は、あとで本部に報告できるよう記録しておきます。
相談3 店長がいない時間にクレームがあった、そのあとは?
社員の立場で、『店長がいない時にクレームがあって、報告はしたけれど、その後どうすればいいの?』という相談も見かけます。報告したあと、何も言われないと不安になりますよね。
報告を受けた店長は、お客様へ改めて連絡するか、店の改善策をどうするかを決めます。報告した側も「その後、どうなりましたか」と聞いてみて大丈夫です。
店長の側は、報告してくれたスタッフに結果を伝え、「対応してくれてありがとう」と声をかけましょう。それが、次に同じことが起きた時の安心感につながります。

クレームが続いて、心が休まらない時は
クレーム対応が続くと、店長自身がすり減ってしまうこともありますよね。そんな時の負担の減らし方は、店長がつらい・きつい時にで理由別に紹介しています。
お客様の声に向き合ってきた経験は、どの店でも役に立つ力です。もし、その力を飲食業界の別の店や会社で活かしてみたくなった時は、業界に詳しい転職支援サービスに話を聞いてみる方法もあります。
RestLab(PR)
飲食業界で次の職場を探すなら、業界特化の人材紹介に相談
RestLab(レストラボ)は、飲食店を運営する会社が手がける飲食店特化の人材紹介サービスです。飲食業界に詳しいキャリアアドバイザーが、店長候補を含む幅広い職種の求人とのマッチングや、面接日時・条件の調整をサポートします。
無料RestLabの公式サイトを見るサービスの内容・利用条件は公式サイトでご確認ください。
よくある質問
店長を呼べと言われたら、すぐに出たほうがいいですか?
スタッフから状況を短く聞いてから出るのがおすすめです。何に困っていらっしゃるのかを知ってから前に出ると、最初のひと言が選びやすくなります。
クレーム対応で、店長はどこまで謝ればいいですか?
まずは、お客様が不快な思いをされたことへのお詫びから始めます。店に落ち度があったかどうかは、事実を確かめてから判断しましょう。返金や補償は会社の決まりに沿って決めます。
本社にクレームが入った時、店長は何をすればいいですか?
本社から聞いた内容をもとに、その時間に働いていたスタッフや店の記録から事実を確かめます。分かったことと分からないことを分けて報告し、お客様への対応は本社と相談して決めましょう。
クレーム対応がカスハラに当たるかは、誰が判断しますか?
店長が1人で判断するのではなく、会社の方針や対応の決まりに沿って判断します。度を超えた言動があった時は、本部に共有し、犯罪に当たりうる場合は警察への相談も考えます。
まとめ
- 店長のクレーム対応は、受け止める、確かめる、提案する、見送る、共有するの5段階で進める
- 「店長を呼べ」と言うお客様は、責任のある人にきちんと聞いてほしいと考えていることが多い
- 店長が出る場面と任せる場面を、店で決めてスタッフと共有しておく
- 本社にクレームが入った時は、事実と対応を順番に報告する
- 度を超えた言動は1人で抱えず、会社の方針に沿って本部や警察と連携する





コメント