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パートさんから「私って社会保険に入るんですか?」と聞かれて、『本部に聞いてみます』としか言えなかった経験はありませんか。シフトを組む店長にとって、実はとても身近な話なんです。
結論から言うと、加入の条件は「週の労働時間」「どのくらい働く見込みか」「会社の規模」の3つでほぼ決まります。 手続きは会社がしますが、シフトを決める店長がこの3つを知っておくと、スタッフにも落ち着いて答えられます。
この記事を読めば、パートの社会保険と雇用保険について、店長が確かめることと伝え方が分かります。
パートの社会保険と雇用保険、店長が知っておきたい違い
雇用保険は会社の規模にかかわらず、週20時間以上で31日以上働く見込みがあれば対象です。社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、週の時間や働く期間に加えて、会社の規模も条件に入ります。
『社会保険と雇用保険って、同じものじゃないの?』と思う方もいますよね。実は、この2つは加入の条件が別々なんです。
| 比べること | 雇用保険 | 社会保険(健康保険・厚生年金保険) |
|---|---|---|
| 週の労働時間 | 週20時間以上 | 週20時間以上(正社員の4分の3以上ならそれだけで加入) |
| 働く見込み | 31日以上 | 2か月を超える見込み |
| 会社の規模 | 問わない | 4分の3未満の人は従業員51人以上(50人以下でも労使の合意があれば対象) |
| 加入の手続き | 会社がする | 会社がする |
| そのほか | 特になし | 4分の3未満の人は、学生でないこと |
どちらも、パートやアルバイトという呼び方で決まるものではありません。契約で決めた週の時間や、働く見込みの期間で決まります。
労働や保険のルールの全体像は店長が知っておきたい法律とルールでまとめています。
雇用保険に入る条件:週20時間と31日の見込み
厚生労働省の説明では、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある人は、パートタイム労働者やアルバイトも含めて雇用保険の対象です。加入は会社の責務とされています。
ここで見るのは、実際に働いた時間ではなく、契約で決めた「所定労働時間」です。『たまたま今週は多く入った』というだけで判定が変わるわけではありません。
例えばこんな人なら、どうなるでしょうか。
| スタッフの働き方の例 | 週の所定労働時間 | 働く見込み | 雇用保険 |
|---|---|---|---|
| 平日3日、1日5時間のパート | 週15時間 | 期間の定めなし | 条件にあたらない |
| 週4日、1日6時間のパート | 週24時間 | 期間の定めなし | 対象 |
| 夏休みだけの短期アルバイト | 週20時間以上 | 31日未満 | 条件にあたらない |
| 3か月契約をくり返している人 | 週20時間以上 | 31日以上 | 対象 |
- 雇用契約書に書いた週の所定労働時間
- 契約期間と、更新の予定があるか
- 新しく入った人の手続きを本部に伝えたか
- 契約内容を変えた人の情報を本部に伝えたか
社会保険に入る条件:4分の3と4つの条件
1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上なら社会保険に加入します。4分の3未満でも、条件をすべて満たすと加入の対象になります。
『うちはパートだから社会保険はない』と思っていませんか。実は、短い時間で働く人でも、条件を満たせば加入の対象になるんです。
4分の3未満の人が加入するのは、次の条件をすべて満たす時です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 週の時間 | 1週間の所定労働時間が20時間以上 |
| 働く見込み | 2か月を超えて働く見込みがある |
| 学生かどうか | 学生ではない |
| 会社の規模 | 従業員数が51人以上の企業(50人以下でも労使の合意があれば対象) |
これまでは「月額賃金8.8万円以上」という条件もありました。日本年金機構によると、この短時間労働者の賃金要件は2026年10月1日に撤廃されています。撤廃のあとも、週20時間以上や会社の規模、学生でないことなどの条件は残っています。
「4分の3」はどう数える?
4分の3は、その会社の正社員の所定労働時間と所定労働日数をもとに考えます。例えば正社員の所定労働時間が週40時間の会社なら、その4分の3は週30時間です。
ただし、時間だけでなく1か月の所定労働日数も4分の3以上かを見ます。正社員の所定時間は会社ごとに違うので、自分の会社の就業規則で確かめてみてください。
会社の規模の条件は、これから段階的に広がる
厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトでは、会社の規模の条件が段階的に広がる予定が示されています。
| 時期 | 対象になる企業の規模 |
|---|---|
| 2027年9月まで | 51人以上 |
| 2027年10月から | 36人以上 |
| 2029年10月から | 21人以上 |
| 2032年10月から | 11人以上 |
| 2035年10月から | 10人以下も対象 |
『うちは小さい会社だから関係ない』という店でも、時期によって対象に入ることがあります。自分の会社が今どこに当たるかは、本部に確かめておきましょう。
「週の時間」「見込みの期間」「会社の規模」の3つで確かめるフロー
加入するかどうかの最終判断は会社がしますが、店長は3つの質問で見当をつけられます。スタッフに聞かれた時の下調べとして使ってみてください。
『条件が多くて覚えられない』という声もよく聞きます。そこで、店長が確かめる順番を3つの質問にまとめました。

- 週の時間:契約の所定労働時間は週20時間以上か。正社員の4分の3以上か
- 見込みの期間:31日以上働く見込みか(雇用保険)。2か月を超える見込みか(社会保険)
- 会社の規模:自分の会社は今の規模の条件に当たるか(社会保険)
- そのほか:学生かどうかを確かめる(社会保険)
- 本部に確認:判断に迷う人は、契約書の写しを添えて本部に相談する
1で週20時間未満なら、どちらの保険も条件にあたらないことがほとんどです。週20時間以上なら、2と3を順に見ていきます。
例えば、週4日で1日6時間、期間の定めなしで働くパートさんなら、週24時間なので1はクリアです。2も満たすので雇用保険は対象で、社会保険は3の会社の規模と4の学生かどうかで決まります。
「あなたは入らなくて大丈夫」と、店長がその場で答えてしまうことがあります。加入の判断と手続きは会社の仕事なので、店長は条件を確かめて本部につなぐところまでにしておきましょう。
シフトを変える時に店長が気をつけること
社会保険と雇用保険は、契約上の週の時間で判断されます。シフトの基本の時間を増やしたり減らしたりする時は、加入の条件にかかわらないかを先に確かめておきましょう。
パートさんから「もう少し時間を増やしたい」「減らしたい」と相談されること、ありますよね。そんな時こそ、店長が加入の話を思い出したい場面です。

| 相談の内容 | 店長が確かめること | 伝え方の例 |
|---|---|---|
| 時間を増やしたい | 週20時間や4分の3を超えるか | 「時間を増やすと保険の条件に当たるかもしれないので、本部に確かめてから決めましょう」 |
| 時間を減らしたい | 今の加入が続くか | 「減らすと保険がどうなるか、先に確かめますね」 |
| 短期で入りたい | 31日や2か月を超える見込みか | 「期間が決まっていたら教えてください。契約の書き方が変わります」 |
新しく人を採用する時に伝えておくこと
保険の話は、入ってからより採用の時に話しておくほうがすれ違いが起きません。面接の段階で、次のことを本人と確かめておきましょう。
- 週に何時間くらい働きたいか
- いつまで働く予定か(短期か、長く続けたいか)
- 学生かどうか
- 扶養の範囲で働きたいかどうか
本人の希望を聞いたうえで、契約の時間を決めて本部に伝えます。「保険に入るかどうかは、契約の時間で会社が判断します」とひと言そえておくと、あとで慌てずにすみます。
『細かい話をして、応募をためらわれたら困る』と思うかもしれません。でも、先に話してくれる店のほうが、働く側は安心できるものです。
なお、厚生労働省の資料では、一度確定したシフトの変更は労働条件の変更にあたり、会社と働く人の双方の合意で行うとされています。店の都合だけで時間を大きく変えないようにしましょう。
シフトの組み方そのものは店長のシフトの作り方、パートで店長を任されている人の働き方はパート店長とは?でも紹介しています。
スタッフの保険や働く時間まで気を配る店長は、それだけで頼りにされる存在です。店長自身の働き方や保険の条件を見直したくなった時は、飲食業界の転職相談を使ってみるのも1つの方法です。
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よくある相談:パートの社会保険と店長
社会保険の相談は、週の数え方や会社の形など、細かいところで迷いやすいものです。契約の所定労働時間を確かめて本部や日本年金機構の窓口につなげば、話がこじれにくくなります。
パートの社会保険について、よく見かける相談を店長の立場から考えてみます。
「扶養内で週30時間」の数え方を聞かれた
扶養の範囲で働きたいパートさんから、週の時間の数え方を聞かれることがあります。『何曜日から数えるの?』と細かく聞かれると、店長も迷いますよね。
週の起算日や時間の数え方は、会社の就業規則で決まっていることが多いです。扶養の範囲は家族の勤め先の健康保険や税の決まりでも変わるので、本人にも家族の勤め先に確かめてもらうよう伝えましょう。
「うちは社会保険に入れない」と言われたと相談された
面接で「いくら働いても社会保険には入れない」と言われた、という相談もあります。ただ、正社員の4分の3以上働く人は加入するのが基本で、条件は会社や事業所の形によっても変わります。
店長が答えに迷う時は、本部や日本年金機構の窓口に確かめてもらうよう案内しましょう。労働条件の相談なら、総合労働相談コーナーも使えます。
前の職場の雇用保険の書類を探すよう頼まれた
新しく入る人に、前の職場で雇用保険に入っていた時の書類を用意してもらうことがあります。急に言われると、本人は何のためか分からず戸惑いますよね。
「保険の手続きに使うので、見つかったら持ってきてね。見つからなくても相談してくれれば大丈夫」と、理由と代わりの方法をセットで伝えると安心してもらえます。
よくある質問
パートの社会保険は週何時間から入りますか?
正社員の4分の3以上なら加入します。4分の3未満でも、週20時間以上・2か月を超える見込み・学生でない・会社の規模の条件をすべて満たすと加入の対象です。
パートの雇用保険は週何時間から入りますか?
1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある人が対象です。会社の規模は関係ありません。
月8.8万円の条件はもうないのですか?
日本年金機構によると、短時間労働者の賃金要件は2026年10月1日に撤廃されました。週20時間以上や会社の規模などの条件は残っています。
学生のアルバイトも社会保険に入りますか?
正社員の4分の3未満で働く人の条件には「学生でないこと」が入っているので、その場合は対象になりません。4分の3以上働く学生さんがいる時は、本部に確かめてみてください。
短期のアルバイトも雇用保険に入りますか?
雇用保険は31日以上の雇用見込みがあることが条件です。最初から31日未満で終わる約束の短期アルバイトは、条件にあたりません。
まとめ
- 雇用保険は週20時間以上で31日以上の見込みがあれば、会社の規模を問わず対象
- 社会保険は正社員の4分の3以上なら加入、未満でも条件をすべて満たせば対象
- 2026年10月に月額8.8万円の賃金要件は撤廃された
- 会社の規模の条件は2027年10月から段階的に広がる
- 判断と手続きは会社の仕事。店長は契約の時間を確かめて本部につなぐ





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