店長の注意の仕方・叱り方|スタッフに伝わる言い方と例文

店長の注意の仕方を紹介する記事のアイキャッチ。バックヤードで向かい合って話す2人の手元

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スタッフに注意しなければいけないのに、『言い方がきつくなったらどうしよう』『嫌われたくない』と迷っていませんか。言えずにため込んで、ある日強い口調で伝えてしまった、ということもありますよね。

結論から言うと、店長の注意の仕方は「人ではなく行動を、具体的に、早めに伝える」のが基本です。そのうえで、場面によって「その場で」「あとで1対1で」「仕組みで」を使い分けると、ぐっと伝わりやすくなります。

この記事を読めば、場面ごとにそのまま使える言い方の例文と、叱り方の線引きが分かります。

目次

店長の注意の仕方で一番大事なこと

先に結論

注意するのは「その人」ではなく「その行動」です。何がどう困るのかを具体的に伝え、どうしてほしいかまで言えば、相手は次から動きやすくなります。

店長は、お店の品質や安全を守る役目を持っていますよね。店長の仕事の全体像は店長とは?意味と役割で紹介しています。

注意は、その役目を果たすための大事な仕事の1つなんです。言いにくいからと見過ごしてしまうと、ほかのスタッフが「あれでいいんだ」と受け取ってしまうことも。

伝わる注意と、伝わりにくい注意の違い

伝わりにくい注意伝わる注意
「ちゃんとして」とあいまいに言う「お皿は両手で下げてね」と行動で言う
「いつも遅い」と性格のように言う「今週、開店準備に間に合わない日があったね」と事実で言う
時間がたってからまとめて言う気づいたその日のうちに伝える
ほかの人と比べるその人の前回と比べる
言いっぱなしで終わる次にどうするかを一緒に確かめる

例えば「ちゃんと声出して」と言うより、「お客様が入ってきたら、目を見ていらっしゃいませを言ってね」と伝えた方が、相手は何をすればいいか迷いませんよね。

注意は「怒る」とは別もの

『叱るなら、少し強く言わないと伝わらないのでは』と感じる方もいるかもしれません。でも実は、強い口調で伝わるのは「店長が怒っている」ことだけで、何を直せばいいかは残りにくいんです。

声の大きさより、言葉の中身で伝える。これだけ意識しておくと、注意の場面がずっと楽になりますよ。

注意する前に、自分の気持ちを整える

ミスが起きた直後は、店長もあせっていたり、腹が立っていたりしますよね。そのまま話すと、言葉がきつくなりやすいものです。

話す前に一呼吸おくための工夫
  • 安全に関わらない注意は、ピークが落ち着くまで待つ
  • 伝えたいことを1つに絞ってから話しかける
  • 「何が起きたか」を先に本人に聞いてみる
  • 自分が疲れている日は、翌日に回してもいいと決めておく

少し時間をおくだけで、「注意したいこと」と「自分のイライラ」を分けて考えられるようになります。

注意は「その場で・あとで1対1で・仕組みで」の3つを使い分ける

3つの出し方を場面で選ぶ

注意には、その場ですぐ伝える方法、あとで1対1で話す方法、マニュアルやルールで防ぐ方法の3つがあります。全部を同じやり方でしようとしないことが、伝わる注意のコツです。

『注意は、その場ですぐ言うのが正解?』と迷いますよね。実は、場面によって向いている出し方が違うんです。

店長の注意を、その場で・あとで1対1で・仕組みでの3つに分け、向いている場面をまとめた図解

どの場面でどれを使うかの判断表

出し方向いている場面例気をつけること
その場で安全・衛生に関わる時、お客様に迷惑がかかる時床がぬれたまま、生の食材をさわった手でほかの物にさわった短く、行動だけを伝える。理由の説明はあとでもよい
その場で小さなやり方の違いで、すぐ直せる時商品の向きが逆、袋の大きさが合っていないお客様の前では小声で、さりげなく
あとで1対1で同じことが何度か続いている時遅刻、身だしなみ、報告の抜け他のスタッフのいない所で、事実をもとに話す
あとで1対1で本人の気持ちや事情を聞く必要がある時態度が変わった、急に休みが増えた責める前に、まず話を聞く
仕組みで何人もが同じところで間違えている時レジ締めの手順、清掃の抜け個人を責めず、手順やマニュアルを見直す
仕組みで忙しさや人の配置が原因の時ピークで提供が遅れるシフトや役割分担を変える

一番見落とされやすいのが「仕組みで」の注意です。何人もが同じミスをしているなら、それは人の問題ではなく、手順が分かりにくいのかもしれません。

「仕組みで」の注意の具体例

仕組みで防ぐ注意は、誰か1人を呼び出さなくていいのが良いところです。例えば、こんな形があります。

起きていること仕組みでの手の打ち方
閉店時の清掃に抜けが出る清掃の場所を書いたチェック表を作り、終わったら印をつける
レジの両替を忘れる開店準備の手順の中に両替を入れ、担当を決めておく
品切れの報告が届かない報告する場所を決め、ホワイトボードや連絡ノートに書いてもらう
持ち場を離れる人が多い時間帯があるその時間帯の役割分担を決め直し、朝礼で伝える

手順をまとめ直す時は店舗マニュアルの作り方も参考にしてみてください。

「その場で」の注意で使える短い言い方

その場での一言の例

「〇〇さん、ここの床、先に拭いておこうか」
「ごめん、その手袋、いったん替えてもらえる?」
「お客様の袋、もう1つ大きいのにしよう」

その場の注意は、短いほど伝わります。理由まで話したい時は、落ち着いてから「さっきの手袋の件、なんで替えたかというとね」と付け足せば十分ですよ。

伝わる注意の手順と言い方

4つのステップで話す

あとで1対1で伝える時は、「事実」「影響」「どうしてほしいか」「確認」の順で話すと、感情的にならずに伝えられます。

ここが一番大事なところです。注意の言葉をその場で考えようとすると、どうしても強い言い方になりがちですよね。順番を決めておけば、落ち着いて話せます。

あとで1対1で注意する時の手順
  1. 事実を伝える(いつ、何があったか)
  2. 影響を伝える(お客様や周りにどう困るか)
  3. どうしてほしいかを伝える(次からの行動)
  4. 本人の言い分を聞いて、次からの形を一緒に確かめる

手順に沿った言い方の例

ステップ言い方の例(遅刻が続いた時)
事実「今週、開店準備の時間に遅れてくる日が続いたよね」
影響「準備が1人少ないと、開店の時に売場が整わなくて、ほかの人が急ぐことになるんだ」
どうしてほしいか「次からは、準備の時間に間に合うように来てほしいな」
確認「何か間に合いにくい事情がある?シフトの時間で調整できることがあれば言ってね」

最後の確認で、相手が事情を話してくれることもあります。通学や家の用事など、シフトの組み方で解決できることなら、そこで一緒に考えていきましょう。

言いかえたい言葉

注意の場面で出やすい言葉ほど、相手を責める響きになりやすいものです。次のように言いかえてみてください。

出やすい言葉言いかえの例
「なんでできないの?」「どこが分かりにくかった?」
「何回言ったら分かるの?」「前にも話したところだから、もう一回一緒に確認しよう」
「やる気あるの?」「最近、気になることがあったら聞かせてほしいな」
「〇〇さんはできているのに」「前回よりここまではできていたから、次はここだけ直そう」
「もういいよ、自分でやるから」「今回はこうやってみて。次はお願いね」

注意したあとのひと言で、関係が決まる

注意のあとに気まずいままにしておくと、相手は『嫌われたかも』と不安になります。その日のうちか次の出勤の時に、いつもどおりの声をかけておきましょう。

「さっきはありがとう。次から気をつけてくれたら大丈夫だからね」

そして、直してくれた時はすかさずほめるのがコツです。ほめ方の言葉は店長の褒め方で紹介しています。

場面別の注意の言い方の例文

場面に合わせて、言い方の型を持っておく

よくある場面ごとに言い方を決めておくと、いざという時に迷いません。どの例も「行動」と「どうしてほしいか」をセットにしています。

『実際にどう言えばいいのか、具体的に知りたい』という方も多いはずです。お店でよくある場面ごとに、例文をまとめました。

場面出し方言い方の例
身だしなみあとで1対1で「髪が食材に入らないように、勤務中はまとめてもらえるかな」
衛生その場で「お金をさわった手だから、盛り付けの前に手を洗おう」
接客の言葉づかいあとで1対1で「お客様への返事、『はい、かしこまりました』で統一してみよう」
スマホ仕組みで「勤務中のスマホはロッカーに置くルールにしたから、みんなでそろえよう」
報告の抜けあとで1対1で「品切れに気づいた時は、その場で一言教えてもらえると助かるんだ」
同じミスが続く仕組みで「この手順、分かりにくかったかもしれないから、紙にまとめ直したよ」
私語が多いその場で「お客様が入ってきたから、いったん持ち場に戻ろうか」

新人に注意する時

新人のミスの多くは、まだ教わっていないか、覚えきれていないことが原因です。注意というより「もう一度教える」つもりで伝えてみてください。

「これ、最初に説明が足りなかったね。もう一回やって見せるから、一緒にやってみよう」

教え方の順番は店長の新人教育・人材育成でくわしく紹介しています。

年上のスタッフに注意する時

年上のベテランスタッフに注意するのは、気が引けますよね。そんな時は、相手の経験を認めたうえで、お店のルールとして伝えると話しやすくなります。

年上のスタッフへの言い方の例

「〇〇さんのやり方の方が早いのは分かっているんですが、新人さんが同じようにできるように、今月からこの手順でそろえてもらえますか」
相手のやり方を否定せず、お店全体のための話として伝えるのがポイントです。

仲のいいスタッフに注意する時

ふだん仲よく話しているスタッフほど、注意しにくいものです。ただ、ほかのスタッフは見ているので、注意すべき時は同じように伝えておきましょう。

「仲よくしてくれているからこそ、ちゃんと伝えておきたくて」と前置きすると、相手も受け止めやすくなります。ふだんの関係づくりについては店長とスタッフのコミュニケーションにまとめています。

学生のアルバイトに注意する時

学生のスタッフにとっては、そのお店が初めての職場ということも多いですよね。社会人なら知っているはずと思うことでも、まだ知らないだけかもしれません。

「知らなかったら仕方ないことだから、覚えておいてね。お店ではこうするんだ」と、責めずに教える形で伝えてみてください。理由を一緒に伝えておくと、ほかの場面でも応用してくれるようになります。

お客様の前でミスが起きた時

お客様の前でミスが起きた時は、まずお客様への対応を優先します。スタッフへの注意は、その場ではしないのが基本です。

お客様の前での動き方の例

店長がお客様に「大変失礼いたしました」とおわびし、対応を引き取る。
スタッフには「ここは代わるね」とだけ伝え、落ち着いてから1対1で振り返る。

あとで話す時も、「次に同じことが起きたらどうするか」を一緒に決めることに時間を使いましょう。

叱り方がパワハラにならないための線引き

必要な指導はパワハラではない。ただし言い方と回数には気をつける

厚生労働省は、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導はパワハラに該当しないとしています。大事なのは、注意を控えることではなく、伝え方の線を越えないことです。

『注意したらパワハラだと言われないかな』と心配になる店長さんもいますよね。まずは、厚生労働省が示している考え方を知っておきましょう。

厚生労働省によると、職場のパワーハラスメントは「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」「労働者の就業環境が害されるもの」の3つをすべて満たすものです。

代表的な言動として、身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害の6つの類型が示されています。

該当する例として、業務の遂行に必要な以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うことも挙げられています。

注意の場面で気をつけたいこと

叱る前に確かめておきたいこと
  • 人格や性格ではなく、行動について話しているか
  • ほかのスタッフやお客様の前で、長く叱っていないか
  • 同じことを何度も、必要以上に長く言っていないか
  • 仕事と関係のない私生活のことを持ち出していないか
  • 罰として、仕事を取り上げたり無視したりしていないか
よくある失敗

忙しさで余裕がない時に、ほかのスタッフの前で声を荒らげてしまうケースです。気づいたら、その日のうちに「さっきは言い方がきつかった、ごめんね」と伝え、内容はあらためて1対1で話しましょう。

指導とパワハラの線引きはパワハラにならない指導とは?でもくわしく紹介しています。最終的な判断は、会社の就業規則や社内の窓口、労働局の相談窓口などに確認してみてください。

スタッフが離れてしまう注意の仕方を知っておく

叱り方ひとつで、スタッフがお店を離れてしまうこともあります。どんな行動が距離を生みやすいかはスタッフが離れてしまう店長の行動とは?で、立て直し方と一緒に紹介しています。

注意の前に確かめたい5つのことをチェックリストにまとめた図解

店長の注意についてのよくある相談

Yahoo!知恵袋にも、注意の仕方や注意を受けた側の気持ちについての相談が寄せられています。閲覧の多い相談から3つ選んで、要点をまとめてお答えしますね。

相談1:店長になったが、年上のパートさんに注意ができない

小売店の店長になったけれど、長く働いている年上のパートさんに注意できずに悩んでいる、という相談です。

長く勤めているスタッフは、お店のことをよく知っている頼れる存在ですよね。だからこそ、注意を「個人へのダメ出し」ではなく「お店のルールの話」にするのがおすすめです。

朝礼やミーティングで、まず全員に向けてルールを伝えてみてください。そのうえで個別に話す時も「みんなでそろえることにしたので」と言えば、相手も受け止めやすくなります。

相談2:店長は、期待している新人には厳しいの?

やることを常にチェックされていて、店長が自分にだけ厳しい気がする、という新人の方の相談です。

店長の側から見ると、早く一人前になってほしい新人ほど、つい細かく見てしまうことがあります。厳しく感じる時は、「どこを直せばいいか教えてください」と聞いてみるのも1つの方法です。

店長の側も、細かく見る理由を一言添えておくと、すれ違いが減ります。「早く一人で任せたいから、最初は細かく見させてね」と伝えるだけで、受け取られ方が変わりますよ。

相談3:注意されたあと、店長が普通に話しかけてきた。自分も普通にしていい?

ミスをして注意されたあと、店長はすぐに切り替えていつもどおり話しかけてきた。自分も普通にしていいのか迷っている、という相談です。

普通にして大丈夫です。店長が切り替えて話しかけてくれたのは、「注意はもう終わったよ」という合図だと受け取っていいと思います。

店長の側にとっても、注意のあとにいつもどおり声をかけるのは大事なことです。こうした小さな切り替えが、注意しても関係が崩れないお店をつくっていきます。

人を育てる経験を、次の職場で活かしたくなったら

言いにくいことを伝え、スタッフを育ててきた経験は、店長として身につけた大きな力です。その力を別の店や会社で活かしてみたくなった時は、飲食業界の転職支援サービスに話を聞いてみるのも1つの方法ですよ。

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よくある質問

店長が注意する時は、その場ですぐ言うべきですか?

安全や衛生、お客様に迷惑がかかる時はその場で短く伝えましょう。同じことが続いている時や事情を聞きたい時は、あとで1対1で話す方が伝わります。

スタッフをみんなの前で叱ってもいいですか?

長く叱るのは避けましょう。その場で必要な一言だけ伝え、くわしい話は他のスタッフのいない所で1対1で話すのがおすすめです。

注意したらスタッフが辞めてしまわないか心配です。

行動について具体的に伝え、注意のあとにいつもどおり声をかけておけば、関係はそう簡単には崩れません。ふだんから声をかけておくことも大切です。

何度注意しても同じミスが続く時はどうすればいいですか?

手順が分かりにくい、忙しさで手が回らないなど、仕組みに原因があるかもしれません。マニュアルやシフトの見直しも考えてみてください。

注意がパワハラにならないか心配です。

業務上必要で相当な範囲の指導はパワハラにはあたらないとされています。人格を責めない、必要以上に長く繰り返さないことを意識し、迷う時は社内の窓口に相談しましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 店長の注意の仕方は「人ではなく行動を、具体的に、早めに」が基本
  • 注意は「その場で」「あとで1対1で」「仕組みで」の3つを場面で使い分ける
  • 1対1の注意は「事実・影響・どうしてほしいか・確認」の順で話す
  • 注意のあとは、いつもどおりの声かけで切り替える
  • 必要な指導はパワハラではないが、人格を責める言い方や長い叱責は避ける
店長ドットコム

店長ドットコム 編集部

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