当サイトの記事は編集部が公的機関の情報や辞書、公表されている統計などの公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内に転職支援サービスへの案内(広告)を含みます。
店長になったら『防火管理者の講習に行ってきて』と言われて、そもそも何の役なのか分からずに戸惑っていませんか。甲種と乙種があると聞いて、どちらを受ければいいのかも迷いますよね。
結論から言うと、防火管理者は、人が多く出入りする建物で選ぶことになっている火災予防の責任者で、店長が選ばれることが多い役です。 甲種と乙種のどちらが要るかは、建物の用途と延べ面積で決まります。
この記事を読めば、店長が防火管理者に選ばれる理由と、甲種・乙種の違い、講習の受け方が分かります。
防火管理者とは?店長が選ばれる理由
防火管理者は、消防法で決められた建物ごとに選ぶ、火災予防のための責任者です。「管理的又は監督的な地位にあるもの」とされているので、お店ではその立場にある店長が選ばれやすいんです。
防火管理者の決まりは、消防法第8条と消防法施行令にあります。人が多く集まる建物で火事を防ぎ、いざという時に被害を小さくするため、責任者を決めておく仕組みなんです。
『なんで店長の私が?』と思う方もいるかもしれません。実は、消防法施行令では、防火管理者は「防火管理上必要な業務を適切に遂行することができる管理的又は監督的な地位にあるもの」とされています。
お店でスタッフに指示を出し、店の設備や売場を見渡しているのは店長ですよね。だから、会社から店長が防火管理者に選ばれることが多いんです。
決まりのポイントを店長目線で
| 決まりの中身 | 店で言いかえると |
|---|---|
| 一定の建物では防火管理者を定める | 店の入る建物によって、責任者を決めておく必要がある |
| 管理的又は監督的な地位にあるもの | 店で指示を出せる立場の人、つまり店長などが選ばれやすい |
| 講習の修了などで資格を得る | 甲種は2日間、乙種は1日の講習を修了して取る |
| 建物所有者とすべてのテナントで選ぶ(東京消防庁の説明) | ビルに入っている店でも、店として防火管理者が要ることがある |
東京消防庁の説明では、防火管理者が必要な建物では、建物の所有者とすべてのテナントで防火管理者を選ぶことになっています。ショッピングセンターやビルの中の店でも、関係があるということですね。
防火管理者が要る店・要らない店は?
飲食店や店舗のように、不特定多数の人が出入りする建物は「特定用途」と呼ばれます。特定用途がある建物では、建物全体の収容人員が30人以上で防火管理者が必要になります。
ここで出てくる「収容人員」は、その建物に出入りし、勤務し、または住んでいる人の数のことです。お客様だけでなく、働くスタッフも数に入るんです。
| 建物の種類 | 例 | 防火管理者が要る人数 |
|---|---|---|
| 特定用途がある建物 | 飲食店、店舗、劇場、ホテル、病院など | 建物全体の収容人員が30人以上 |
| 非特定用途だけの建物 | 共同住宅、学校、工場、倉庫、事務所など | 50人以上 |
| 社会福祉施設等を含む建物 | 自力で避難するのが難しい人が入所する施設など | 10人以上 |
出典は東京消防庁「防火管理者が必要な防火対象物と資格」です。
『うちは小さい店だから関係ない』と思っていても、建物全体で数えると30人を超えることがあります。ビルやショッピングセンターに入っている店は、特に気をつけておきたいところです。
- 店が入っている建物の用途を本部や管理会社に聞く
- 建物全体の収容人員がどのくらいかを確かめる
- 前の店長が防火管理者だったかを引き継ぎ書類で見る
- 分からない時は所轄の消防署に問い合わせる
甲種・乙種の違いを「店の広さと人数」「講習日数」で比べる早見表
乙種でよいのは、特定用途なら延べ面積300平方メートル未満、その他なら500平方メートル未満の建物です。それ以外の建物では、甲種の講習の修了などが必要になります。
ここがこの記事の中心です。甲種と乙種の違いを、店長が気になる「店の広さと人数」と「講習日数」で比べてみました。

| 比べること | 甲種 | 乙種 |
|---|---|---|
| 当てはまる建物(飲食店・店舗など特定用途) | 収容人員30人以上で、延べ面積300平方メートル以上 | 収容人員30人以上で、延べ面積300平方メートル未満 |
| 当てはまる建物(その他の用途) | 収容人員50人以上で、延べ面積500平方メートル以上 | 収容人員50人以上で、延べ面積500平方メートル未満 |
| 講習日数 | 2日間 | 1日 |
| 受け持てる建物 | 甲種の建物も乙種の建物も | 乙種の建物だけ |
甲種の講習を修了していれば、乙種でよい建物の防火管理者にもなれます。異動で別の店に移ることが多い店長は、会社から甲種を取るよう言われることもあるんです。
施行令の条文では用途ごとに細かい区分があるので、最後は所轄の消防署に確かめておきましょう。広さだけで「300平方メートル以上なら甲種」と覚えるのは、用途によっては合わないので注意です。
講習の受講料の例
講習の受講料は、講習を開く団体によって違います。ここでは2つの例を並べました。
| 講習を開く団体 | 受講料の例 |
|---|---|
| 日本防火・防災協会(令和2年4月1日改定時) | 甲種防火管理新規講習 8,000円、乙種防火管理講習 7,000円、甲種防火管理再講習 7,000円 |
| 千葉市消防局の講習案内 | 4,900円 |
出典は日本防火・防災協会「受講料内訳」と千葉市消防局の講習案内です。お店のある地域の消防本部や協会の案内を見てみてください。
- 甲種と乙種のどちらを受けるか
- 受講料を会社が負担するか、精算の方法はどうか
- 講習日を出勤扱いにするか
- 再講習の対象になるか、次の受講の時期はいつか
防火管理者になった店長が日ごろできること
防火管理者は店長の役でも、火事を防ぐのはスタッフ全員です。日ごろの声かけと、いざという時の動き方をそろえておくと安心です。
講習を終えて防火管理者になると、『何から始めればいいの?』と思いますよね。店の細かい決まりは、会社や建物の管理会社、消防署の案内にそって進めるのが基本です。
そのうえで、店長として毎日の営業の中でできる備えを、チェック表にしてみました。

- 通路や出入口の前に段ボールや台車を置いていないか
- 避難口の誘導の表示が商品や棚で隠れていないか
- 厨房のコンロまわりに燃えやすい物を置いていないか
- 消火器の置き場所をスタッフ全員が知っているか
- 閉店後の火元の確認を誰がするか決まっているか
スタッフへの声かけは、例えばこんな形です。
「そこの通路、段ボールは品出しが終わったらすぐたたんでおいてね」
「新しく入った〇〇さんにも、消火器の場所を一緒に見せておこう」
ほかにも、食品を扱う店では食品衛生責任者を置くことになっています。店長が両方を任されることもあるので、食品衛生責任者とは?もあわせて読んでおくと安心です。
異動や着任で引き継ぐ時は
店長は異動が多い仕事ですよね。前の店長が防火管理者だった場合、自分が引き継ぐのか、別の人に替わるのかを早めに確かめておく必要があります。
『着任したばかりで、そこまで手が回らない』という気持ちも分かります。ただ、ここが抜けると、店に防火管理者がいない期間ができてしまうこともあるんです。
- 前の店長に、防火管理者の届け出が誰の名前になっているか聞く
- 自分が講習を修了しているか、甲種か乙種かを確かめる
- 講習がまだなら、本部と相談して受講日を決める
- 届け出の手続きを本部や建物の管理会社と進める
- スタッフに、消火器の場所や避難の動きを一緒に確かめてもらう
前の店長との会話は、例えばこんな形です。
「防火管理者の届け出は、今どなたの名前になっていますか」
「私の名前のままなので、引き継ぎの手続きは本部の担当と一緒に進めましょう」
届け出の様式や期限は、建物のある地域の消防署によって違います。細かいところは、所轄の消防署の案内で確かめてください。
店長が知っておきたい法律の全体像は、店長が知っておきたい法律とルールでまとめています。
防火管理や衛生管理の経験は、店長として店全体を任されてきた証でもあります。その経験を、飲食業界の別のお店で活かしたくなった時は、飲食店に特化した人材紹介サービスに相談する方法もありますよ。
RestLab(PR)
飲食業界で次の職場を探すなら、業界特化の人材紹介に相談
RestLab(レストラボ)は、飲食店を運営する会社が手がける飲食店特化の人材紹介サービスです。飲食業界に詳しいキャリアアドバイザーが、店長候補を含む幅広い職種の求人とのマッチングや、面接日時・条件の調整をサポートします。
無料RestLabの公式サイトを見るサービスの内容・利用条件は公式サイトでご確認ください。
防火管理者についてよくある相談
防火管理者は、店が入る建物で決まる役です。ほかの資格と合わせて、店で何が要るかを知っておくと迷いません。
防火管理者と店長について、知恵袋で見かける相談を2つ選んで、要約して答えてみます。
相談1 コンビニの店長になるには、防火管理者のほかに何が要る?
コンビニの店長を目指していて、防火管理者・食品衛生責任者・酒類販売管理者のほかに要る物はあるか、という相談です。
この3つは、店の建物や扱う商品によって置くことになっている役です。酒類販売管理者は、お酒を売る店で販売場ごとに選び、過去3年以内に研修を受けた人から選ぶことになっています。
それ以外に何が要るかは、会社やオーナーの決まりで変わります。店長に関わる資格の全体像は、店長に役立つ資格一覧で紹介しています。
相談2 店長はみんな、こういう資格を持っているもの?
飲食店の店長は、防火管理者や食品衛生責任者を持っているのが普通なのか、という相談です。
防火管理者は建物によって、食品衛生責任者は食品の営業によって、置くことが決まっている役です。店長が持つと法律で決まっているわけではありませんが、店長が選ばれることが多いので、持っている店長は多いと考えてよいですよ。
大事なのは、資格を持っているかどうかより、店で誰がその役を担っているかを知っておくことです。アルバイトやパートの方も、消火器の場所や避難口を知っておくだけで、いざという時の動きが変わります。
- 今の店の防火管理者は誰になっているか
- 自分が引き継ぐ場合、講習の予定はいつか
- 届け出の手続きは本部と店のどちらでするか
よくある質問
防火管理者は店長が取らないといけませんか?
防火管理者は「管理的又は監督的な地位にあるもの」から選ぶことになっているので、店長が選ばれることが多い役です。誰を選ぶかは会社やオーナーが決めるので、本部に確かめてください。
甲種と乙種、どちらを受ければいいですか?
乙種でよいのは、特定用途なら延べ面積300平方メートル未満、その他は500平方メートル未満の建物です。異動が多い場合は甲種を取るよう言われることもあるので、会社の方針を確かめてください。
講習は何日かかりますか?
東京消防庁の説明では、甲種は2日間、乙種は1日の講習を修了して取ります。日程は地域の消防本部や協会の案内で確かめてください。
受講料はいくらですか?
日本防火・防災協会の例では、甲種防火管理新規講習が8,000円、乙種防火管理講習が7,000円です。千葉市消防局の講習案内では4,900円と、開く団体で違います。
まとめ
- 防火管理者は、消防法で決められた建物ごとに選ぶ火災予防の責任者
- 「管理的又は監督的な地位にあるもの」とされ、店長が選ばれやすい
- 飲食店や店舗がある建物では、全体の収容人員30人以上が目安
- 乙種でよいのは特定用途300平方メートル未満、その他500平方メートル未満
- 講習は甲種2日間、乙種1日。受講料は開く団体で違う





コメント